子狐、新年の挨拶をします。 ページ41
「うえ……」
朝起きたAは猛烈な吐き気と頭痛に新年初の目覚めは最悪であった。
「大丈夫?」
心配そうにアヤメは寮の玄関先まで見送り、Aは大丈夫だと弱々しく手を振って桃源郷にある自宅に向かって歩き出した。
「酒くっさ!」
帰宅して桃太郎に最初に言われた言葉はこれだ。
再び込み上げてくる吐き気に慌ててトイレに向かうと同じく青い顔をした白澤が出てきた所であった。
「あ…こんちゃんおかえりー…」
「ただいま…うっ」
Aは慌ててトイレに駆け込み、その中からは苦しそうに嘔吐する音が聞こえ、
桃太郎は呆れてため息が出た。
「はぁ…はぁ…白澤様は…こんな苦しい思いしてるのに懲りずに呑むのか……うっ…おろろ…」
机に突っ伏して生気のない白澤とAの前に桃太郎は二日酔いの漢方を置いた。
「まったく。酒に懲りて制御すること」
「僕は多分無理」
「あんな苦しい思いしてまだ呑むか…いや、知ってたけど」
Aは水と共に漢方を飲み、一息ついた。
「新年会はお酒減らす…焼酎ロックはやめて水割りにする…」
「あ、これたぶん無理なやつだ」
Aの妖力の元が白澤である為、それが影響しているのかと心配になりつつ
時間を見て、「今日はやめとく?」とAに確認をする。
「え…?あ!今日は鬼灯様や閻魔大王に新年の挨拶行くんだったね」
Aは一気に昨夜の記憶が蘇り、顔は再び真っ青になる。
また気持ち悪くなったのかと心配する桃太郎に昨夜の出来事を話した。
「はあ?ゲロぶっかけた挙句に介抱させた!?」
「しかも体調が一回落ち着いた時に寮の前まで送ってもらった…」
「鬼灯さんに散々迷惑かけてまだ酒呑もうとしてるのか…ある意味怖い物知らずだな」
これは菓子折りを持って行った方が良いのではと桃太郎と話し、
行きの道にあった菓子屋で和菓子を買って閻魔殿へと向かった。
「あ、Aちゃんに桃太郎くん新年おめでとう」
閻魔殿では初めにニコニコと笑う閻魔大王が出迎えてくれた。
「あ、Aだ」
「新年おめでとう」
続いて一子と二子が現れてAを囲んだ。
「新年おめでとうございます。
…あの、鬼灯様は……」
鬼灯の所在を聞こうとした所で背後から聞き慣れた低い声にAの尾と耳は逆立つ。
「おめでとうございます。体調はどうですか?」
「おめでとうございます…。体調は大丈夫です」
隣の桃太郎は今も最悪なくせにと思い、苦笑いを浮かべた。
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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - いえいえ、、!鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい!気長に待ってます! (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀`) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、!!これからも更新楽しみにしてます〜!! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2018年3月7日 0時