子狐の衣装事情。 後篇 ページ37
｢おや、Aさん｣
忙しそうに書類と睨めっこしていた鬼灯は近くまで来たAの存在に気がついて顔を上げた。
白衣姿のままのAは主任から預けられた書類を渡し、少し言葉を交わして去ろうと歩き出した。
先程も近くでやり取りをしていたので、デスクに座る鬼灯からは足元の着物は見えておらず
帰る時もきっと書類を眺めてこちらを見ないだろうと高を括っていたが、鬼灯はしっかりを足元を見ており着物であることを察した。
見たのはたまたまであるが。
｢…これからお昼だと言うのにどうしてまだ白衣を着ているんですか｣
鬼灯にそう声をかけられ、三角巾の下に折りたたまれていた耳がビクリと反応する。
A達はいつも休憩の時は白衣を脱いでいるのだ。
｢…忘れてて…｣
｢嘘つけ着物を着てるんだろ｣
逃げようとしたが走り出そうとした同時に首根っこ掴まれたAは壁と鬼灯に挟まれてしまう。
また鬼灯にジッと見つめられる今は恥ずかしさではなく恐怖を感じていた。
｢この私の前で嘘をつくとはいい度胸ですね。
どうして私に見せてくれないんです｣
｢…だって、昨日の事があってすぐに着るって意識してるみたいで恥ずかしくて…｣
｢そうですか。私は嬉しかったですよ｣
低く、少し優しい声で｢見せて下さい｣と言われたAは顔の温度が上昇していき、
激しくなる動悸に正常な判断が出来なくなり思わず
｢やだ…｣
と返事したその数秒後には白衣のボタンが弾け飛んで行った。
引っ張られてボタンが飛んだ白衣は中の着物を晒し出す。
それよりもまさかの鬼灯の強行にAは目を丸くしていた。
｢白衣があああ！｣
｢貴女がさっさと見せないからでしょ｣
鬼灯はAの着物姿を見て、
｢やっぱり似合ってますね｣
鬼灯がそう呟いた言葉にAの頬がさらに赤くなっていく。
｢…鬼灯様、よろしければ一緒にお昼ご飯どうですか｣
誘った所で迷惑だったかなと発言を撤回しようとした所で
｢いいですね。私も休憩しようと思っていました｣
と鬼灯は書類を片付け始める。
｢少し片付けるので待っていて下さい｣
｢はい｣
鬼灯が片付けで見ていない間、
両手で自分の頬を覆うAは嬉しそうに顔をにやけさせていたのだった。
食堂にてそれぞれ頼んだ定食を食べていると鬼灯はふと思い出したように声を上げた。
｢それで、着物の手配なんですけど｣
｢だからいりませんって｣
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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (
レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - いえいえ、、！鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい！気長に待ってます！ (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀｀) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、！！これからも更新楽しみにしてます〜！！ (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十五
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時：2018年3月7日 0時
