子狐、就活します。 ページ23
「絶っっっっっ対にやだ!!」
そう駄々をこねるのは極楽満月の主人白澤。そんな彼がこうも拒絶する原因は地獄の閻魔庁の医務室専用薬剤師の求人誌。
鬼灯がAに渡したものである。
「確かに天国の求人よりは給料は劣るけど、年末年始や夏季の長期休暇もあるし、
入社半年経てば有給も使える上に社会保険も完備されてるし
ちゃんと昇給もあるし、退職金やボーナスもちゃんと出るみたいだから
総合的な条件は一番良いと思うんだけど…」
「あんなくそ暴力鬼上司の下で働かせるのが嫌なの!」
元々白澤と鬼灯の関係が良好ではないのは知っていたが、やはり条件や一番通い慣れている
閻魔庁への就職が第一希望である。
「それに、採用試験に受かるとも限らないでしょ。
いくら知り合いだからって贔屓してくれるわけじゃないし。
ダメだったら天国の求人のほうに応募するよ」
Aの言葉に少し揺らぎだす白澤にもう少しだと最後の一押し。
「私に会いに来た口実でお香さんにも会えるし、私に可愛い女の子の知り合いできるかも」
「…まあ、試験受けるのも経験だよね」
デレッと急な態度の変わりように呆れつつもなんとか機嫌が直った事に安堵した。
「そんなの無視をして試験を受ければ良かったじゃないですか」
採用試験のエントリーと必要な書類を閻魔庁に提出しにきたAはそのまま鬼灯や閻魔大王とお茶をしていた。
「無視して試験を受けることもできるんですけど、後でバレた時の方がめんどくさいんです。
だから一言伝えておかないと鬼灯様に喧嘩売りに突撃しに行きますよ」
「そんなの返り討ちにすれば終わりです」
「それで怪我して介護や仕事のサポートが大変になるんです」
緑茶とおやつの饅頭を幸せそうに頬張る閻魔大王はAに優しいまなざしを向ける。
「でも、白澤くんはAちゃんに甘いから嫌がったりしても、
試験を受けることを許してくれたと思うよ」
「…知ってます。だから今回の試験のことも最後は折れてくれるのをわかってるから伝えれたんです」
早く一人前になって将来力になれたら…そんな思いがAにはあった。
天国の求人よりも遥かに忙しそうな閻魔庁を選んだ理由の一つでもある。
「まあ、うちはたとえ試験を受けるのがAさんでも手加減はしませんよ」
「頑張ってください」そう鬼灯は笑った。
「はい。頑張ります」
お茶の湯気がゆっくりと薄くなっていく。
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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - いえいえ、、!鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい!気長に待ってます! (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀`) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、!!これからも更新楽しみにしてます〜!! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2018年3月7日 0時