子狐のお祝いをします。 ページ22
「薬剤師の試験おめでとう〜」
「ありがとう」
極楽満月では閉店後、Aの試験合格のささやかなお祝いをしていた。
テーブルの上には桃太郎が作った料理が並び、
うさぎ達もお祝いとお花を渡していく。
「で、今後のことなんだけど」
と白澤はおちょこにお酒を注ぎ、一口飲んでおつまみに手を出す。
「こんちゃんは別の所に就職しなさい」
「え」
驚いている様子の桃太郎とAに白澤も「え?」と驚いた顔をする。
「ここで働くつもりだったの?」
「だって今まで手伝ってたし…」
「俺はてっきりAも店にいるからって自分は遊び歩くのかと…」
「まったく。二人して僕をなんだと思ってるの」
「普段のあんた見てるからこそ出る発想ですよ」
「もー」と言いたげに呆れる白澤とそれを冷たい表情で見つめる桃太郎に挟まれながら、
料理を食べるAは次の言葉を待つ。
「うちの店って僕と桃タローくん。ウサギさんもいるからそれなりに足りるわけでしょ?
僕は二日酔いとか、桃タローくんが配達でいない時とかにこんちゃんに手伝ってもらってるけど」
「うん」
「うちの店だけしか知らないって勿体ないと思うんだよね。色々な環境に行って世間を知りながら経験を積んで欲しいわけ。
それでいつかは自分の店を出したいと思ったら出せばいいし、桃タローくんが独立した時に僕の店に戻ってくるってのもありだし。
あと単純に今こんちゃんにお給料払う余裕がない」
「てへっ」と可愛らしく言う白澤だが、そんなものが可愛いと思えるはずがない桃太郎とAは呆れた顔で睨んでいた。
「うちの経済状況がそんなに良くないことは知ってたけどね」
白澤は「まあまあ」と数枚の紙を並べた。
「これは僕の知り合いが出してる求人なんだけど、
天国だから治安もいいし、給料も悪くないと思うんだよね」
「すごい。色々ある」
皆で求人を囲んで見ていると、店の入り口に来客が訪れていることを知らせる音が鳴った。
Aが出迎えると来客は鬼灯であった。
「こんばんは。こんな時間に珍しいですね」
「試験に合格したと桃太郎さんがメールを下さったので、仕事終わりに来ました」
鬼灯はお祝いのプレゼントと一枚の紙を渡す。
「うちの求人です。条件も悪くないと思います。
採用試験の内容は厳しいと思いますが、考えておいて下さい」
「それでは」と鬼灯が帰った後もAはしばらくその場で求人を眺めていた。
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猫もん - 子狐が座敷童子に嫉妬する話、泣いてしまいました…小さい頃ってこんな感じだったなぁ…と思い出しましたw (2023年1月19日 18時) (レス) @page6 id: ab6da51256 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» ありがとうございます。 (2020年6月16日 1時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - いえいえ、、!鈴さんのできる範囲でゆっくり更新して下さい!気長に待ってます! (2020年6月10日 22時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 褓さん» コメントありがとうございます。留守にしていてすみません。更新頑張ります(*´∀`) (2020年6月10日 16時) (レス) id: b29c9bf4f3 (このIDを非表示/違反報告)
褓(プロフ) - 久しぶりに占ツク開いたらたくさん更新されてて嬉しかったです、、!!これからも更新楽しみにしてます〜!! (2020年6月10日 12時) (レス) id: 8689638df7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十五 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php
作成日時:2018年3月7日 0時