第21話 ページ23
総悟は愛刀の菊一文字RX-7を振りかざし、攘夷浪士相手に戦闘を続ける。だが殺すわけではなく、峰打ち程度に留めている。
「総悟、頑張って」
「沖田さん、大丈夫でしょうか……」
大判のハンカチで目隠しをしているそよ姫が心配そうに声をあげた。
「きっとやってくれると思います。あの総悟ですから」
Aは安心させるようにそよ姫の背中をさする。
「はぁッ!」
流石は真選組一の剣の使い手。情勢は優位ではあった。だが、ピンチは突然に訪れる。
「うぉぉぉっ!」
「っ、しまった」
戦っていた攘夷浪士のうちの一人が間をすり抜けて、Aと姫を狙ってきた。
「さあ、大人しく姫をよこせ!」
そう叫びながらこちらに迫ってくる。
(どうしよう……でも姫様を守らなければ)
Aはとっさに刀を抜いてそよ姫の前に立ち塞がり、浪士を一太刀に斬り倒した。
「ッ!」
人を斬った生々しい感覚に、Aの身体に戦慄が走る。攘夷浪士はAの一撃を受け、バタンと倒れた。
「っ、あ……あ……」
Aはその場に膝からくずれ落ちた。刀を握る手はカタカタと震えている。
「Aさん、どうなさったんですか……!?」
Aの声しか聞こえず、状況を飲み込めていないそよ姫はどう声をかけていいかわからないようだった。
「A!」
全ての敵をやっつけた総悟が、様子のおかしいAに気づいて駆け寄り、膝をついた。
「おいどうした、具合でも悪いのか」
「ひ、人を、斬った……」
「それがどうしたんでィ」
「今まで、真剣を使ったことなんてなかった……ましてや人を斬りつけるなんて、傷つけるなんて……」
「ここはお前がいた世界とは違う。廃刀令とはいえ、そういうのが当たり前にある。真選組に関わるなら尚更だ。それを受け入れた上で……覚悟の上でやっていかなければならねェ」
「……」
Aはそれきり何も言わなかった。
「姫様、目隠しはまだ外さねェほうがいいです。いま屯所に連絡したんで、じきに隊士が来ます。到着次第お城までお送りしますんで」
そよ姫にも気遣いつつ、総悟は震えるAをそっと抱き寄せた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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yunami☆彡(プロフ) - 美穂さん» ご覧頂きありがとうございます!楽しんで頂けてとても嬉しいです♪今年受験生になるので更新の頻度が落ちるかもしれませんが、今後ともこの作品をよろしくお願いします! (2019年2月2日 16時) (レス) id: dcfedc9460 (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - こんにちは☆凄く面白いです(*^^*)これからの更新楽しみにしてます♪ (2019年2月1日 12時) (レス) id: 8db3d29e8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2018年8月21日 8時