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第85話 ページ7

「そう……だったんだね」


表情がすべてを物語っていた。未来の自分は、悲しいなどという言葉では言い表せない苦しみを背負ってきたのだと。


「大好きな世界が一度壊れて、枯れるまで涙も流した。……けれどこれで報われる。すべて戻ってきたから。銀魂は永遠不滅。今までも、これからも」


言う通り、未来を変えるという悲願は成し遂げた。
でも、私とミライ(わたし)は同じであって、同じではない。故にどう足掻いても変わらない事実もある。


「未来はもとに戻っても、アンタがあの時間で亡くした人間は……アンタの愛した"俺"は戻ってこねェだろ」


総悟の言葉にミライは静かに目を伏せた。少しの間があった後、口を開く。


「総悟はここにいるから。Aもそう。これからを生きるのはもう、私というAではないの」

「……つまり?」


よく解らない、という顔の総悟。私もすぐには意味を飲み込めず。


「物語は永遠じゃない。いつか必ず終わりが来るもの。でもそれを愛する人がいる限り、物語は次の世代へと受け継がれていく。

例えば、名作を舞台化した演劇。沢山の人々に愛された作品は幾度も再演される。そうして何年も経つと、何があると思う?」


えっと……何だろう。
首をひねってしばしの間悩む。__あ、あれかな。


「演者が変わる」

「正解。登場人物はそのままに、それを演じる人間が入れ替わる。後任キャストは精一杯工夫を凝らして、前任が築き上げたキャラクターをより良いものに昇華する。

それは、今この時も同じことなんだよ。次の新たな未来を作るのはあなた達。
__そして、かつての"A"だった私は役を降りる」


そこで私は、ミライの身体が少しずつ透け始めているのに気づいた。

一瞬混乱したものの、すぐに察した。完結篇を散々観たから、結末も頭の中にしっかり叩き込まれている。


「そうか……消えるのか」

「うん。映画とかでよくあるでしょ? 天人がペンダントを拾った未来が無くなって、私は存在しなかったことになる。

お別れだね、これで」

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設定タグ:銀魂 , トリップ , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2022年5月6日 12時

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