第81話 ページ3
「天人が地球に再来する前、総悟と私は付き合っていたの」
「えっ」
私は思わず隣にいる総悟を見た。そうしたら総悟も同じくこちらを向いて、互いに顔を見合わせる。心の内は知らないけれど。
「きっかけはささいなことだったんだけどね。総悟から告白されて、恋人同士になった」
話を聞きつつ総悟からミライに視線を戻したものの……気まずい。非常に気まずい。なんとも言えないこの気持ちの名前がわからない。こんなことを考えている場合じゃないのはわかっているのに。
そんな私をよそにミライの話は続く。
「屯所で稽古をしたり、甘味処でお団子を食べたり。何気ないことばかりだけど、二人でいる時間はとても楽しかった。幸せだった……でも」
そこで言葉を切る。その先は言わずもがなと言わんばかりに総悟が後を引き取った。
「……メネート星人の再来か」
頷いたミライの眼差しから光が消える。
「それからはこの間話した通り、絶望へのカウントダウン」
天人が江戸を乗っ取り独裁政権を築き上げてからというもの、真選組含め警察組織は天人の手駒としていいように使われるようになったこと。
退けられた将軍家は身を隠し、そよ姫の護衛という形で雇われていたミライは真選組から距離を置かざるを得なくなって、結果総悟たちと離れてしまったこと。
「一度だけ、総悟から連絡があった。『必ず会いに行くからそれまで待ってろ』って。だから会えなくても平気でいられた。いつかきっと帰ってきて、幸せな日常に戻ると信じていたから」
聞いていた話では、1年後に真選組が蜂起し、天人相手に反乱を起こしたが倒せず、近藤さんや土方さん達が処刑されたという。
「真選組メンバーが次々と殺される中、総悟だけはなんとか私のもとへ帰ってきた。けれどそれは同時に、永遠の別れを意味していた」
それまで詳しく口にすることのなかった"別れの日"のことを、ミライは静かに語った。
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作者名:yunami☆彡 | 作成日時:2022年5月6日 12時