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「おい。テメェ相変わらずDV家庭築いてんのか?いい加減に、」
ドゴッ!!
「ガッ!!…ぁ……?」
久しぶりに浴びた大寿の拳。
力も、拳の軌道の正確さも、痛みを感じさせる面積も、昔とは桁違いだ。
ヤバい…これ死ぬかも。
「テメェは本当に家族の問題に首を突っ込むことが好きだなぁ。」
んなことしたらどうなるか教えてやるよ
首をギチギチと締め上げられる。
誰かの悲鳴やらなんやらが聞こえるが、耳鳴りもひどくなってきて頭がぼやっとしている私にはどうにもできない。
これ首締められた痕つくな……それは辞めていただきたい。お兄ちゃんのゲンコツが飛んでくる。
なーんて言えるはずもなく、
「……ヒュッ、ウ”ゥ……ぁ…」
視界が暗くなった。
「………。」
目が覚めたソコは、ふかふかで温かいところだった。感触と匂い的に、おそらくユズのベッド。
匂いで誰の何なのかがわかるなんて、自分で言うのもなんだがかなり変態だと思う。わかってくれ、この超感覚は虐待が蔓延る家庭で育てられた結果なのだ。
まぁそれは置いといて。
傍らで聞こえる話しが大問題なのだ。
「うん…うん……わかってる、すぐ回収しに行くよ。」
チラリと横を見れば、すぐ傍で私に背を向けながら誰かと電話しているユズ。おかげで私が目を覚ましたことに気づいていない、ので、話し続けている。
もっとよく耳を澄ましてみれば、電話の向こう側から聞こえてくるのは『金』とか『報酬』とかそういう類の単語。
声の主は紛うことなき大寿。
どんだけタッパがデカくても、大寿はまだまだ私たちと一つしか歳が違わないガキだ。
それなのに、『金』絡みの話しをしている……どう考えてもヤバいことをしてるとしか思えない。
しかもユズの『すぐ回収しに行くよ』という言語からして、多分ユズもそれに巻き込まれてる。
「………ユズぅ。」
「!! 紬起きたの?
もう切るわ。ちゃんとやるからこれでお終いね。」
電話を切ったユズの口から真っ先に出たのは、『悪かった』だった。
「なんで???」
「……巻き込んだ。」
「違う。巻き込んだにしても殴られたのはユズのせいじゃない。なんでもかんでも自分のせいだって背負い込まないで。」
ついイラッとして冷たい言い方になってしまった。
ムカついたのだ。
あいも変わらず暴力を振るってた大寿にも。
それを3年近くも話してくれなかったユズにも。
それに気づかないで、姉妹だなんだと宣ってた自分にも。
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Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年2月3日 17時) (レス) @page43 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、八戒固まった、このシーン好き! (2022年11月6日 19時) (レス) @page18 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - あ、これって、あの短編にあったシーン! (2022年11月3日 13時) (レス) @page11 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 場地さんそのセリフ!!!夢主、鈍感だよって、ハロウィンのは大泣き場面やぁ…… (2022年10月30日 22時) (レス) @page7 id: 1c08a873e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫缶(プロフ) - 違う!そういう意味じゃない!(多分) (2022年10月30日 21時) (レス) @page7 id: 926dc0c43f (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2022年10月28日 16時