ー意気地なしな俺はーヘタリア

14話 ページ16

一方的な話し方で、状況を理解するのに暫し時間がかかったがハッと我にかえり、渡されたものを見る。
どうやらそれは紙だった。いや、紙、と言うより文……？何故私に…？
とりあえず、基地に帰ってから見よう。私はそう考えながら馬に跨り帰路を急いだ。


「とりあえず、中身を見なきゃ始まらないよね……」

そう言いながらハサミを取り出し、封を切り中身を出した。
中には文とこれは……確か戦前アルフレッドさんが持ってきてくれた……名前は……ブレスレット……？というものが入っていた。
文にはこう書かれていた
「拝啓、Aへ
Ciao!フェリシアーノだよ！海軍での生活はどう？慣れた？体調は大丈夫？聞きたいことはたくさんあるけど、この辺にしとくよ。
俺、Aに伝えなきゃいけないことがあるんだ。本当は直接会って言いたかったんだけど、今は、そうはいかないからね。手紙でごめんね。
俺、ずっと前からAの事が好きだった。いや、好き。心の底から愛してる。いつ終わるか分からないけど、この戦争が終わればすぐに君に会いに行くよ。その時またちゃんと伝える、返事もその時でいいから。俺、ドイツ達と頑張るから、日本やAも頑張ってね！
フェリシアーノより」

読み終わると、頬に生温い水が頬を伝った。
自分が泣いていると理解するのにそう時間はかからなかった。
悲しいわけではない。
悔しいわけではない。
痛いわけではない。
何故自分は泣いているんだ？
そうだ。

「フェリに……会いたい」

そう。答えは簡単だった。
フェリに会いたい。
ただ、それだけ。
でも、この戦争が終わればまた会える。
遅かれ早かれきっともう戦争は終わるだろう。
陸軍だって、海軍だって、もう殆ど勝っていない。
食料だって、満足に食べられる程余裕もない。
今はそう、ーー負け戦争。
負けたくはない。
降伏したくない。
そう思う者も少なからず居ただろう。
けれど、私を含め人々は

『御國の為に』

皆この言葉を胸に生きている。
戦争をする意味だとか、そういう事は考えない。
国の為に生きて、国の為に死ぬ。
それが一番の幸せだから。
だから、私達国民は明日の為に、この国の未来の為に戦う。
明日から海上特攻隊として沖縄へ向かうんだ。
この国の為に。

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