第23話 ページ26
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必死に逃げながら、あの時のことを思い出す。
中学1年のとき、まだ及川さんと仲が悪くなかった時のあの夜。
そんなこと思い出したらもっと怖くなるに決まってるのに、馬鹿な私の頭はどんどん記憶を蘇らせていく。
(…あぁ、まずい。)
過呼吸になってきた。息が苦しい。走るのがつらい。だけど止まれない。
普段過呼吸になんて滅多にならないからこそ、なった時すぐに治まってくれないから厄介なんだ。
段々思考も停止してきて、もうどこを走っているのかも分からなくなってきた。
そんなとき、後ろを確認しながら走っていたせいか、誰かとぶつかった。
先回りされていたら。追いつかれたらどうしよう。
ああ、だめだ。過呼吸で何も考えられない。どうしよう。
『…っは、ぁ…かは…っ』
「A…？おい、大丈夫か！」
『ひゅー…ひゅー……ぁ、…やだ…』
「っ…縁下スマン、ここ頼んだ。先生呼んでくる！」
「はい‼」
聞き覚えのある声。縁下、先生…。分かるけど、わからない。
ずっと私の名前を呼びながら背中をさすってくれている。
でもどうしよう。止まらない。
変質者がいるから、気を付けてって、言いたいのに。
危ないから対処しなきゃいけないのに。言葉が、出てこない。
少しすると、複数人の足音がパタパタと駆けてくる。
「A！落ち着け！」
『ぁ……ぅ、え…』
「俺だ、分かるか？みんないるから大丈夫だ」
『…繋心、さ…』
“あの時”と同じ。
繋心さんの声が聞こえて、少し安心する。
数分経って落ち着いたところで、ずっと背中をさすってくれていた縁下の手を取って、もう大丈夫だということを伝える。
私がぶつかったのは大地さんだったみたいで、私の髪が濡れっぱなしだったせいでTシャツの中央が濡れてしまっている。縁下もすごく焦った表情で、迷惑をかけてしまっていることが分かった。武田先生も過呼吸用にビニール袋を用意してくれていた。
「何があったか、話せるか？」
『…っ、変質者…！お風呂、入ってて…そしたら、石が入ってきて、窓が割れて、そこから、…！
ここにも、来ちゃう、かも…』
過呼吸での生理的なものとは別の涙がこぼれそうになるが、そんなものよりもみんなに被害が出ないようにどうにかしなければいけない。
そう思い立ち上がろうとすると、遠くの方から誰かの声が聞こえた。
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ふぃる(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しいお言葉…！！のんびり更新ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします(^^) (2020年3月12日 13時) (
レス) id: 57a4697fd9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - めっちゃ好きです。このお話読んでふぃるさんのファンになりました笑これからも応援してます！！ (2020年3月2日 8時) (レス) id: 012863f737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃる | 作成日時：2020年2月7日 11時
