色のない世界で、君と 2【めいちゃん】

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地を這うような低い声に体がビクッと震えた。

二の腕を掴まれぐんと体が持ち上がり、背中に温かさを感じる。

それに安心してはっと短く息を吐いた。



「えっ、なるせ！？」


「やばーい！」



こんな状況なのに目をハートにして喜んでるこの人たちを軽蔑する。



「めいちゃんもいる！」



その声に私は振り返る。

何があったか分かってなさそうな戸惑った顔。


さっきの見られた、かな。


バチッと目が合うと駆け寄って来て心配そうに「大丈夫？」と声をかけてくれる。

その言葉に見られてたんだと思った。


あんな場面見られたくなかった。

恥ずかしくて恥ずかしくて消えてしまいたかった。

顔を見れない。



「どっかいって」


「…えっ」



めいちゃんの聞いたことの無い怒りを含んだ声に驚いて顔を上げる。

ファンの人にそんなこと言ったら、



「あー…はい」



ほらやっぱり。

女性たちはイライラした様子で仕方なく去っていく。


私また迷惑かけてるし、私のせいでめいちゃんが悪く言われたらどうしよう。

不安から鼻の奥がツーンとする。


私の腕を掴むなるせの服を引っ張った。


泣いてしまう前にこの場から逃げたかった。

めいちゃんにこんな惨めな姿見せたくなかった。


そんな私の気持ちを察したのかなるせはすぐにタクシーを止め私をその中へ押し込んだ。



「ちょ、どこ行くの」


「送ってくる。また連絡するわ」


「まっ」



めいちゃんの言葉を遮るようにバタンと扉が閉まる。

窓から外を見ると悲しそうに顔を歪めるめいちゃんがいた。





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