Prologue ページ1
あ「ねぇ!父さん!どこに行くの!?手、痛いよ!」
父「……………」
あれは私が11の頃だった。父に手を引かれ、無理矢理連れて来られたそこは吉原だった。
女主人「おや、借りていた金を娘で返そうってきかい?あんたもひどい親だねぇ」クスクス
あ「お、お金!?父さんお金なんて借りてたの!?どうして……」
父「……この子は好きなように使ってくれていい。店に出しても、雑用でもなんでもさせるといいさ。そのかわり、金のことは無かったことにしてくれ」
あ「父さん!?」
女主人「……ああ。上玉だね。よし、金のことは無かったことにしてやろう。そのかわりこの娘は一生ここで働いてもらう」
あ「わ、私、嫌だよ!?父さん!!」
父「…………」
嫌がる私に背を向け帰っていく父を私は今でも覚えている。
女主人「諦めな。お前にはやってもらうことが山積みだからね。廓言葉。お三味線。琴。舞。着物の着付け方。客への対応。」
あ「……………」
女主人「あ、一つ言い忘れたけどね。逃げようなんて馬鹿なこと思うんじゃないよ?それが店で一番売れていようが雑用だろうが差別なく殺すからね」
あ「は、はい。」
女主人「お前、名前は何て言うんだい?」
あ「私は………Aです。」
女主人「そうかい。私の事は藤乃と呼びな。もっともこれは本名じゃないけどね」
あ「はい……」
それから10数年の月日が流れた。
あ「…ようこそおいでくんなまし……。」
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作者名:咲夜 | 作成日時:2016年4月29日 11時