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「…ん」
「あ、ごめん起こした?」
「……ん…」
「ん?」
きゅ…っと遠慮がちにみつの手が太輔の指に触れる。
それから幸せそうに柔らかく微笑んだ。
「…っ」
随分と長いこと一緒にいるけど、みつのあんな表情は初めて見た。
そしてそれを受けた太輔のあんな穏やかな表情も、初めて見るものだった。
「北山?」
「…寒い」
「寒いねぇ、今日雪降るかもだって」
「マジ…?」
「早めに帰れるといいな」
「ぅん…」
太輔を自分の方へ引き寄せて、みつは小声で内緒話をするみたいにしていたけれど、生憎ここには三人しかいないから静かな楽屋の中では俺にもはっきりと聞こえてしまった。
「今日も、そっち帰っていい?」
普段公私混同を全くしないみつのこの様子に、余程疲れと寝不足が祟っているのだろうと察した。
太輔もそれは分かっているらしく、みつの好きにさせているみたいだ。
「俺が断る訳ないでしょ。もちろんそうしてもらうつもりだったよ」
「…ふふ」
満足な答えが聞けて安心したのか、みつはゆっくり目を閉じた。
「身体…平気?」
「…ん?」
「お腹とか腰とか、痛くない?」
「あー…、…ん」
「ほんと?」
我慢しちゃダメだよ、と恥ずかしくなるくらいの甘い声で囁き、ブランケットの上からみつのお腹を優しく摩っている。
その会話や仕草から二人が昨夜同じベッドで過ごしたことが容易に想像できてしまった。
あ、こいつら俺の存在忘れてる。
んんっとわざとらしく咳払いを一つすると二人の動きが不自然に止まり、太輔がゆっくりと俺の方を向いた。
「わ、わた…」
「ハー…」
「あ、あははは、なんか北山やたら寒がりだから心配しちゃって」
パッと勢いよく立ち上がり俺の方に戻って来ようとして、太輔の動きが止まる。
その原因を二人で見ると、みつは目を閉じたまま顔を薄らと赤らめ、太輔の服の裾を掴んでいた。
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絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 本編のみったんはやや不安要素を残して終えましたが、アフターストーリーの番外編ではそんな杞憂も消えたいぴにすっかり心預けているみったんを描けていればなぁと思う次第であります(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪たいぴの勘違いからコメディ風に進み、そして甘々シーンを経てより一層幸せな二人にできて私も嬉しく思います( ̄∀ ̄)♪Yの証人も楽しんでもらえてよかった〜♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ユキスケさん» ユキスケさん、お久しぶりです(^^)♪私まで優しくなれそう、そのお言葉に本作を創って良かったなと心から思えました…!Yの証人もありがとうございます(笑)第三者目線はなかなか新鮮で楽しく書けました♪ほっこり甘々な二人にできて良かったです(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ピンクピーチさん、いつもありがとうございます♪今回は完全片想いから始まるという珍しい入りでしたが、甘々な着地にもっていけてホッとしております( ̄∀ ̄)横尾さんエピも楽しみながら追加しましたが、楽しんでもらえて良かったです(^^) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - *コウ*さん» コウさん、初めまして(^^)序盤からもどかしい二人を見守って下さりありがとうございました!今回かわいめなきたーまさんを書けて私も大満足です(*゚▽゚*)また別の作品でお会いできる事を楽しみにしています♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年12月21日 13時