浮の話 ２ ページ27
４５．
指先が踊るように、流れるようにキーをたたく
キーボードをたたくというのはとても簡単だ
それは、スマホの画面も一緒
だからだろうか、言葉にして話すより、こうしてキーをたたいて、画面上に打ち出す方が自分の思い、感情を吐露できる
良いことだ
それは、日記のような自分のことを思いっきり吐き出すような場所ではとても重宝する
こっちの方が、書きやすい、思ってることを書ける人も
病気で話すことが出来ない人も
パソコンなら
スマホなら
画面上なら
自分の思いを、打ち出すことが出来る
話すことが出来る
でも、書きすぎてしまうのが、玉に瑕
みんなも経験したことがあるでしょ？
ついつい、筆がのってしまって、黒歴史を作り出してしまった、とか
書きすぎて、相手を傷つけた、とか
良いことばかりではない
最近、ネット上の批判中傷が相次ぐ
最近、どころではない
ここ数年、だ
まるで、楽しむように軽やかに罵倒の言葉が、画面を舞う
相手は楽しんでいるのだろうか
ストレスが溜まっているのだろうか
それとも、やりたくて、本当にそう、思って正義の心でやっているのだろうか
そして、
画面上の謝罪
はぁ〜、自分で書いてて嫌になる
軽い 軽い
あまりにも軽い
軽すぎて、縦横無尽に舞って、舞って
画面を覆いつくす
言葉が
誹謗が
罵倒が
軽い
重みが無い
そんな言葉だけが、画面を舞う
わけではない
たとえば、死にたいという言葉
重い
でも、おふざけだったら？
でも、もしかしたら、本当の
見極めることが重要
嘘だろ
と邪険にしてはいけない
もちろん、そんな人ばかりではないのは分かってる
私が言いたいのは、言葉の重量の話だ
言葉の重さ、軽さ
それは現実では簡単に、読み取ることが出来るだろう
だって、人は感情で物を考えるようなものだ
冷静で、感情を抜きにして、考えることが出来る人も少なからずいるが、それはあくまで、少数
では、ネット
画面の上ならどうだろう
文字は電気
ただの光
そこから、感情は読み取れない
だから人は文章から、想像する
抑揚を、感情を、表情を、相手の顔を
だから人は、ビックリマークを使う
絵文字や、スタンプもその類い
相手がどう思って書いているのなど、誰にもわからないのに想像する
もしかしたら、相手は無表情かもしれないのに
楽しいなんて、思っていないかもしれないのに
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作者名：潮見 不可 | 作成日時：2022年9月21日 13時
