ー ページ24
ー
……見たこともない奴に、直ぐ出会える方が可笑しい。
任務の“ついで”のはずが、胡蝶妹を探す方が倍、いやそれ以上に時間がかかっている。
くっそ……どうしてこうも、いつも胡蝶の口車に乗せられるかな……
あいつの声には何か、術か何かがかかっているのかもしれない。
「はー……やらかした」
引き受けるんじゃ、なかった……使い道をなくした小銭で音を鳴らし、町をふらつく。
見つからなかったと言って戻ろうか……いや、そうしたらまた、困り眉で妹のことを語り出すんだろう。
「どうしたものか……」
面倒に感じてきたそのとき、俺は、目にしてしまう。
「どいてもらえませんか、急いでいるんです」
強気な声の源に、見覚えのある、蝶の髪飾り。
……まじか。
間違いない、あれは胡蝶の妹だ。
雰囲気はかなり違うが……確かに、あれは直ぐにわかるな。
見失わぬよう、目で姿を追いかける。
黙って見ていれば、恐らく昼から飲んでいるだろう、酒に酔い潰れた町のチンピラに絡まれているようだった。
早いところ妹をつれて返りたくて、その場に割り込もうとするも、「やめてください!」という、先程よりもさらに大きくはっきりとした声に動きを止める。
……女の割に野次の男の手を遠慮なく払う様子に、目を引かれた。
面白い奴……それに、強そうだな。
姉のように、柱になり得る力を持っているのだろうか。
まだ喋ったこともない奴に、勝手に想像を膨らませる。
手を出さずに様子を伺っていると、男は体に手をかけたので、流石に止めに入ろうと距離を詰めた。
が、そこでも鋭い平手打ち。
地によろけそうになった男を慌てて支えて、胡蝶の妹に向き直る。
「っ……おい、大丈夫か」
慌てて声をかけた、その後の彼女の反応といえば、
「……誰ですか」
大きな瞳をうっすら潜めて、警戒心丸出しの、その一言。
_____それが、しのぶとの、初めての会話だった。
ー
685人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天霧(プロフ) - うっひょうぅぅぅう!しのぶさん最高ですよ! (2021年11月5日 20時) (レス) id: 29b58b93c0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな(プロフ) - しのぶちゃんかわいいですよね、、!更新待ってます! (2020年8月12日 22時) (レス) id: ec54d11116 (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃこの作品好みです!更新お願いします!!!これからもがんばってください!! (2020年5月24日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
イツキ - 二人のイチャイチャ楽しみです! (2020年5月10日 12時) (レス) id: a90c8d5aa0 (このIDを非表示/違反報告)
剣華 - いつもニヤニヤしながら見させてもらってます。ほんと好きです!次の更新も楽しみにしてます!がんばってください。 (2020年5月7日 12時) (レス) id: e2d859c4ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たつき | 作成日時:2020年3月30日 7時