通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

好きな人 -You- ページ31

慌てる私とは反対に、
いつものように落ち着いていて。

鼻で小さくふっと笑うと、
ユンギさんの手が伸びてきて……っ！

頭を上から下に…

髪の毛を撫でるようにユンギさんの手が動き、
毛先を持って、
本当に最後の最後まで滑らせて…

手が離れた…と思ったら、
今度は太ももの上に置いてある手の上に
手を重ねられて…


SHOOKYみたいなクッキーを持ってる…

わかってるくせに。
気づいてるくせに。

それなのに聞いてきた
ズルいユンギさん。


しかも。


「なら別の質問。俺の好きな女は誰でしょう？」


また質問。
しかもユンギさんの好きな人…
誰でしょうって…

そんなのわかるわけないし、
この距離で…その口から、
好きな人の名前を聞くのは酷すぎる。


なんでそんなこと聞くの？
なんで髪なんか撫でたり、
手を重ねたりするの？

つい数時間前まで、
ユンギさん…こんなんじゃなかったじゃない？

つい数時間前までは、
最初に廊下で避けられた時と同じ
そんな態度だったのに…

いきなり部屋にユンギさんが来て、
抱きしめられたり謝りたいって言われたり、
キス……されたり。

全部が突然すぎて、
もう何がなんだかわからないのに。

鼻の奥がツーンとして、
溢れてくる涙。

堪えるのに必死で、
顔を背けたいけど
動かしたら涙が溢れそうで…

…と、思っていたら。

重ねられていた手。
その手が離れ、
今度は指が目尻に触れた。

びっくりして…
思わず目を閉じてしまい、
その瞬間、堪えていた涙がポロポロと…
頬を伝った。

その涙を拭こうと、
咄嗟に顔を背けたけど。

一度離れたユンギさんの手。
すぐに頬に冷たい手が触れ、
グイッと……ユンギさんの方を向かされた。


「お前以外に……誰がいるんだよ」


上から降って来る、
突き刺さるようなユンギさんの視線。



お前……
私………？


え…
意味が…
わからない。


「なんとか言えよ。まさか…『お前』って誰のこと？とか思ってんじゃねぇよな？」


ユンギさんが眉間にシワを寄せて、
不満げにそう言ったけど…


驚きすぎて理解のできない私は、
何も口にすることができず…
ただただ、
ユンギさんを見ることしかできなかった。


そして…


あ！


と、思った時には背中に手が回り、
抱き寄せられたと同時…

ユンギさんの香りがふわっと…
鼻から入った。


「Aが好きだ」



ダメだ…

頭がパンクして…

もう無理だ…

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