肆壱 幸せの期限 ページ42
「わぁ…山野さんすごいです!!可愛い!」
皆さんにもお見せしたい!
りんごの皮を兎にするのはよくあるが、実の方も削ってリアルな兎を作ってくれたんだ。
夕食の支度を手伝ってくれた山野さんが、りんごがあるからって見せてくれた。
「あれ、手赤くないですか?見せて下さい…やっぱりタコが出来てますね。おそらくですが、竹刀ダコかと思うんですが」
「あぁ…そうです」
「薬があるので、良かったら使ってください」
借りる事にして、倉庫的な部屋の前の縁側に座って待つ。そういえば、彼は医療担当だっけ。
まだ、4時半を回ったところなので他の隊士の方はあまりいない。といっても屯所で暮らす人もまぁ2クラス分くらいだったかな?
「お待たせしました」
「え、包帯?」
「そうしないとすぐ薬取れちゃいますからね」
「そうなんですか。なんか、大怪我した人みたいで嫌だなぁ」
専用のキットのようなもので、手に薬を塗ってもらう。ここは、仕事柄薬もいっぱいありそう。
包帯も自分じゃ巻けないので、申し訳ないが巻いてもらう。
「隊士でも、こんなにひどくなりませんよ?無理は駄目です!」
おかんに心配かけてもうたわ…
「隊士じゃないからこそです。言われちゃって、真選組じゃないんだから手を出すなと。でも…護られてるだけなんて絶対嫌なんです」
格好つかないでしょ?と付け足した。
そう言うと山野さんは格好いいです、ときっと気を遣って言ってくれた。
傷付かないで側に居たいなんて、綺麗事。側に居たいから、生きていてほしいから。だから、その為の強さを探し求めている。
「土方さんの葬式はどういうのがお好みですかィ。来週なんで急ぎ目で」
「えっとマヨをあしらって…っておい!!来週、俺死ぬ設定なの!?」
「あ、おかえりなさい!土方さん、総悟さん」
毎日、誰かに行ってらっしゃいとおかえりなさいが言えたらってずっと思っていた。
無事に帰って来てくれるだけで、こんなにも嬉しいなんて知らなかった。いつも真っ黒な部屋、明日さえ見失って生きてきた。今が幸せ過ぎて怖い。また…あの日々に戻ってしまうと考えると。
だから、今は笑おう。
とびきりの笑顔で、大切な人達と一緒に。
「春村さんに山野、ただいま」
「…A、書類は書けたんでィ?途中でもいいから見せなせェ」
「総悟また押し付けたのか!士道不覚悟で切腹だ」
「死ぬのは土方、お前ィの方でさァ!」
あぁ…また家の破壊。よくやるな、ほんとに。
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千の歌を歌う人(プロフ) - コロさん» 有難きお言葉です!!すごく嬉しいです!頑張ります!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
コロ - おもしろいです!!更新忙しいかもしれないけど頑張って下さいね!! (2019年7月29日 22時) (レス) id: 21d6130453 (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - サラダ油さん» ぱっちゃんはですね、主人公が付けたあだ名です!主人公は色んなあだ名を人に付けるもので…見てくれて、物凄く嬉しい限りです!!頑張ります! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - 新八は「ぱっちゃん」じゃなくて「ぱっつぁん」と呼ばれてますよ。面白いのでこれからも頑張って下さい! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 3eb4c4dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれの | 作成日時:2019年7月24日 22時