拾伍 強がり ページ16
「俺は、姉上を亡くしたばっかなんだ…心配させんじゃねェ」
彼の目から、涙が溢れ出す。
その涙を私に見せないようにか、明後日の方を向いて腕で顔を覆う。心配…してくれてるんだ。
ほらね。やっぱり優しい人。そして…不器用な人
「沖田さん。私は大丈夫。大丈夫だよ」
自分の言葉が過去の自分の思いと重なる。
あの夢は、私の過去だったんだ。
本当は……言いたかった。こういう風に。夢みたいにお母さん、お母さんって呼ぶだけじゃなくて。
笑って、送り出してあげたかった。最期の別れだったんだから。
今度は私が沖田さんの頰に触れる。
「私、このくらいの傷じゃ折れたりしないよ」
私の悪い癖ってよくお母さんに言われたっけ。
強がりすぎだって。
でもどうすればいいか分からない。だってそういう性格だから。だから、私は強がりも長所ということにした。都合のいい女なのかもしれない
「……ふっ…とんだ強がりでィ」
「そっちも…ですからね」
頭をくしゃくしゃと撫でられる。
乙女の髪は命なのに…
「一人で抱え込むなよ」
「沖田さんも…」
「あぁ」
私はこの言葉を早くも裏切らなくてはいけない。
さっきの声のことを抱え込まなくてはいけない。
みんなには聞こえなかったみたいだし…
これは、強がってるわけじゃない。
本当に、何が何だか分からない出来事だったから
怖かった。でも…沖田さんが来てくれたから。
そして、気付いた。
だんだんと膨れ上がっていくこの気持ちは、きっといつか………何か違う感情になること。
この世界の人達と関われば関わる程に、すごく嬉しい反面同じくらいに悲しくなる。
ずっと、ここにいられるわけなんて……ないのに
『ここにいない方が彼女は幸せなのかもしれない』
分かってたの。
私がここにいれば、こんな風に迷惑かけることくらい。そんなことも分からないほど馬鹿じゃない。でも…優しさに触れる度に、もっと一緒に居たいと思ってしまう。
「で?その傷はどんな奴にやられたんでィ。他の奴らは集団サボりか?サボりなのか?」
「寝てる間に…やられたんです、だからどうだったか分かりません。もしかしたら、全員で寝てる間に私が切っただけかもしれないです…」
相手見えなかったから、私が寝てたってことにしてもそう、違いはないよね
「あれ?何……この子……」
像みたいに鼻が長くて…これって…あの…
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千の歌を歌う人(プロフ) - コロさん» 有難きお言葉です!!すごく嬉しいです!頑張ります!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
コロ - おもしろいです!!更新忙しいかもしれないけど頑張って下さいね!! (2019年7月29日 22時) (レス) id: 21d6130453 (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - サラダ油さん» ぱっちゃんはですね、主人公が付けたあだ名です!主人公は色んなあだ名を人に付けるもので…見てくれて、物凄く嬉しい限りです!!頑張ります! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - 新八は「ぱっちゃん」じゃなくて「ぱっつぁん」と呼ばれてますよ。面白いのでこれからも頑張って下さい! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 3eb4c4dfa2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くれの | 作成日時:2019年7月24日 22時