検索窓
今日:21 hit、昨日:7 hit、合計:57,651 hit

拾伍 強がり ページ16

「俺は、姉上を亡くしたばっかなんだ…心配させんじゃねェ」


彼の目から、涙が溢れ出す。
その涙を私に見せないようにか、明後日の方を向いて腕で顔を覆う。心配…してくれてるんだ。
ほらね。やっぱり優しい人。そして…不器用な人


「沖田さん。私は大丈夫。大丈夫だよ」


自分の言葉が過去の自分の思いと重なる。
あの夢は、私の過去だったんだ。
本当は……言いたかった。こういう風に。夢みたいにお母さん、お母さんって呼ぶだけじゃなくて。
笑って、送り出してあげたかった。最期の別れだったんだから。
今度は私が沖田さんの頰に触れる。


「私、このくらいの傷じゃ折れたりしないよ」


私の悪い癖ってよくお母さんに言われたっけ。
強がりすぎだって。
でもどうすればいいか分からない。だってそういう性格だから。だから、私は強がりも長所ということにした。都合のいい女なのかもしれない


「……ふっ…とんだ強がりでィ」

「そっちも…ですからね」


頭をくしゃくしゃと撫でられる。
乙女の髪は命なのに…


「一人で抱え込むなよ」

「沖田さんも…」

「あぁ」



私はこの言葉を早くも裏切らなくてはいけない。
さっきの声のことを抱え込まなくてはいけない。
みんなには聞こえなかったみたいだし…
これは、強がってるわけじゃない。
本当に、何が何だか分からない出来事だったから
怖かった。でも…沖田さんが来てくれたから。

そして、気付いた。
だんだんと膨れ上がっていくこの気持ちは、きっといつか………何か違う感情になること。
この世界の人達と関われば関わる程に、すごく嬉しい反面同じくらいに悲しくなる。
ずっと、ここにいられるわけなんて……ないのに


『ここにいない方が彼女は幸せなのかもしれない』


分かってたの。
私がここにいれば、こんな風に迷惑かけることくらい。そんなことも分からないほど馬鹿じゃない。でも…優しさに触れる度に、もっと一緒に居たいと思ってしまう。





「で?その傷はどんな奴にやられたんでィ。他の奴らは集団サボりか?サボりなのか?」

「寝てる間に…やられたんです、だからどうだったか分かりません。もしかしたら、全員で寝てる間に私が切っただけかもしれないです…」


相手見えなかったから、私が寝てたってことにしてもそう、違いはないよね


「あれ?何……この子……」


像みたいに鼻が長くて…これって…あの…(バク)

拾陸 夢喰い→←拾肆 見えないもの



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
63人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 真選組 , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

千の歌を歌う人(プロフ) - コロさん» 有難きお言葉です!!すごく嬉しいです!頑張ります!! (2019年7月30日 0時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
コロ - おもしろいです!!更新忙しいかもしれないけど頑張って下さいね!! (2019年7月29日 22時) (レス) id: 21d6130453 (このIDを非表示/違反報告)
千の歌を歌う人(プロフ) - サラダ油さん» ぱっちゃんはですね、主人公が付けたあだ名です!主人公は色んなあだ名を人に付けるもので…見てくれて、物凄く嬉しい限りです!!頑張ります! (2019年7月29日 20時) (レス) id: 1dfb43aa3f (このIDを非表示/違反報告)
サラダ油 - 新八は「ぱっちゃん」じゃなくて「ぱっつぁん」と呼ばれてますよ。面白いのでこれからも頑張って下さい! (2019年7月29日 18時) (レス) id: 3eb4c4dfa2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くれの | 作成日時:2019年7月24日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。