田舎育ちのハイパー野生児が世間知らず過ぎてヤバすぎる【東京卍リベンジャーズ】

#33 ページ35

A視点



竜胆が私の苗字に聞き覚えがあると言うが、
私は全く覚えがない。
全国的にも丹川なんて苗字、そんなにいないしな……。
うーん……と竜胆が頭をひねっていると、
横で蘭が何か思い出したようだった。
ありきたりに片手をポンと叩いて思い出す動作をする。



蘭「音楽家、丹川 隆文だ」


竜胆「それだ！兄ちゃんよく覚えてたな！」


蘭「だいぶ前に駅でコンサートのポスター見た」


『あ、それ父さん』



軽い口で言うと、蘭と竜胆がめちゃくちゃ詰め寄って来る。
そんなに凄いことなの？
実の娘ながら親の知名度を全く知らない。
海外で有名だって言うのは聞いたことあるんけど。

ついでに、パートナーの新田 鈴はお母さんですよとも付け足せば更に驚いていた。
てか不良ながら音楽家知ってるなんて凄いな。



竜胆「すげー家系の生まれなんだな。あの世界的に有名な丹川 隆文と新田 鈴の娘とか」


蘭「やっぱ親が有名だと音楽の英才教育とかされてんの？」


『全然。寧ろ親が忙しすぎてそんなことされる暇すらない。二人が日本にいない間は田舎の祖父母の家にお世話になってる』



二人が謎に「あー」と納得している。
考えてる事は失礼なことだってのはわかった。
音楽をやってるようなお淑やかな女性とは程遠いものね。
でも、母さんも相当猫かぶってますから。
手描きの地図めちゃくちゃ雑だぞ。
音楽になると人変わるもん。







蘭に連れてこられたのは、
白いふわふわのブラウスやリボンが着いたワンピースなど
可愛いものばかりのお店だった。
まてまてまてまて、場違いすぎて死ぬ。
こんなジャージハーフパンツ足袋ぽっくり下駄の人が
入っていいお店じゃないって。
ムリムリムリムリムリムリムリムリムリ厶(ry

そんな私をお構い無しにズルズルと中に引き摺っていく。
やだあぁぁぁァァァァァ！！！




「これは着たくないってのある？」と訊かれたので、
『短いスカート』とだけ答えた。

短いスカートは大きく動くと、はしたないものを見せてしまうから好きじゃないのだ。
せめて膝下まではあって欲しい。
結論ジャージや学校指定の体操服が正義。

私の願いを聞き届けた蘭と竜胆は、「りょーかい」と
洋服売り場に消えていった。
2人の洋服を見繕うスピードが凄い。はっや。
プロか何かでしょうか。

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