色を知らないお前に見せたい色、戸惑う色【高杉晋助】

第8話 ページ8

貴方side









高杉「もったいねぇ……。

その分だと自分の目の色も知らねぇんだろ」






緑輝「緑、なんでしょう？」







高杉「ただの緑じゃねぇよ。澄み切った綺麗な色だ。


それを知らないのはもったいねぇ…。」







緑輝「私も見てみたいです。この眼を見て私は緑輝と名付けられた…


その色がどれほどのものなのか…」







高杉「治らねぇのか」







緑輝「原因も治療法も分かっていません。


ただ、刺激があると色彩感覚にも影響するのではないかと言われています」









高杉「だから地上の話を、か…」







緑輝「はい…」







高杉「ならやっぱり自分の目で見たほうが刺激も強いだろ。」







緑輝「……そう、ですかね………」







高杉「来いよ。俺もお前にその緑、見せてやりたい」







緑輝「高杉様…………。」







高杉「ついでに世界中の色もな」







緑輝「…………………ならまず…。



高杉様の瞳は何色ですか…？」







高杉「…………なぜ俺の」







緑輝「人を引きよせる貴方様の瞳はさぞかし美しいのでしょう」







高杉「……………緑、だな」







緑輝「それは真ですか？私と同じでございますか？」







なぜか嬉しくて少し大きな声を出してしまったが




高杉様はどこか苦笑いのような引きつった笑顔だった








緑輝「高杉様？」






高杉「同じ緑でもお前と俺は同じにしちゃいけねぇさ。



俺の色は………見せられない。」







緑輝「どうして……………」







高杉「お前みたいに透き通っちゃいねぇし輝いてもねぇ。


とても見れたもんではねぇよ。」







緑輝「………………」








どこか寂しそうなその顔はきっとあなたには似合わない顔なのだろう





出会ってまだ二回目の私だけどそれだけは分かる…。







あなたはきっと昔背負った大きな傷を抱えているのだと…









緑輝「知りたいです。」






高杉「………？」






緑輝「高杉様の事、もっと知りたいです。


世界の色も知りたいです。」







高杉「………それは答え、か」







緑輝「はい。」








高杉「緑輝。本名は」







緑輝「A………。」









高杉「A。行くぞ。」

第9話→←第7話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す