色を知らないお前に見せたい色、戸惑う色【高杉晋助】

第22話 ページ22

高杉side








高杉「おい………………」






貴「………………」






高杉「おい」






貴「……………」






高杉「A。」





貴「っ、高杉様……」







酒を注いだままぼーっとするAは


何度呼びかけようとも反応せず



あごを掴んでこちらに向かせると目を見開いたがすぐにそらした









貴「あ、ごめんなさい…。今拭きますので…」





高杉「待て。」






貴「高杉様っ………。お手や床がお酒で………」





高杉「お前が徳利傾けたままぼーっとするからだろ」





貴「だ、だから…お拭きいたします……」






いっこうに眼をあわせようとせず


必死に離れようとする







貴「……離してください…」





高杉「お前なんかあったか」






貴「何も」





高杉「最近変だぞ」





貴「さようですか」






高杉「体調でもわりぃのか」





貴「…大丈夫ですから…………離してください…」






高杉「………………そうか」







掴んだあごを離すとAはこぼれた酒を拭き始めた







貴「……………」





高杉「なんだ」





貴「………お手…」





高杉「手？」





貴「失礼します………」







濡れた手をとり遠慮がちに触れなが拭いてくれるのはいいが






高杉「なぜ震えてる」





貴「………………」







僅かに弱々しく震える白い手…。



長い睫毛を伏せて上げてくれない







高杉「おい」





貴「鬼兵隊総督様のお手となると緊張いたします」





高杉「今更なんだ」





貴「…………この前の無礼はお許しください…」






高杉「お前が謝る必要ないだろ。俺が抱き寄せた」





貴「……………ごめんなさい…」






高杉「だから……」






貴「………………お手も綺麗ですね…」







高杉「………………………………………………顔、上げろ」






貴「………………」






高杉「上げろ」






貴「…………………」







泣いたり俺を避けたり震えたり無心だったり………



本当に最近様子が変だ








高杉「A。」





止まった白い手を掴む





貴「っ、」





高杉「なぜだ………。


なぜお前は俺が触れると泣く……………」

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