色を知らないお前に見せたい色、戸惑う色【高杉晋助】

第13話 ページ13

貴方side









高杉「…………寒くねぇか」







貴「はい。大丈夫です」







高杉「………なぁ、A。」






貴「なんでしょう」







高杉「お前……。なんで吉原にいんだ」






貴「…………………」







高杉「言いたくねぇなら別にいいが

俺はお前を知りたいと思っている」






貴「………………私も高杉様を知りたいと思っております。

それなら自分のことも話すのが筋ですよね…。



聞いていただけますか」







高杉「あぁ。」







貴「……話す、と言っても何も覚えていないのですが…。


言えるとしたら、父に売り飛ばされた、ということくらいですかね…」







高杉「………………」







貴「吉原に来てからは紅や着物の色が分からない事から


変だのおかしいだの不審がられ周りの目は冷たく嫌がらせを受けていました」







高杉「………………」







貴「今までこれが当たり前だと思っていたことが


周りからすれば当たり前じゃないということを知って


私はこの目が移す色を無視してきたのです。」







高杉「…………………お前は復讐…とか望まねぇのか」







貴「…復讐、ですか？」







高杉「人を恨むことを知らねぇのか



お前の父親にしろ、周りの女にしろ」








貴「父が何を思って私を売ったのかはわかりませんが


貧しい家でした。そのお金で父が過ごせているのなら私は構いません




周りの方達は間違ったことはしていません。

色が分からないのなんて普通ではありませんから。」








高杉「…………健気な女だな」







貴「そうですか」







高杉「綺麗だ。」







貴「高杉様？」







高杉「俺とは違う…………強い生き方…。綺麗だぜ」









また…………………






なぜこの方はこんなにも悲しそうな顔で笑うのか……………







いったい何を見て何を感じてきたのか…………







何を失ったのか………………







きっと私には想像のつかないことなんでしょう…………

第14話→←第12話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す