はぁち ページ9
あの後、空気を読まずに鳴り響いた授業開始のチャイムによって護衛についての詳しい説明は放課後という事になった。
私は生徒としてこのクラスに来たわけだから、一応しっかり授業は受けなければならない。という事で、ちらちらと生徒たちの視線を一身に受けながらも早速一時間目の英語が始まった。
カツカツとヒールの音を鳴らしながら教卓の前に立ったのは、綺麗なブロンドヘアの若い女性。名前は確か、イリーナ・イェラビッチだったかな。裏社会でも一二を争うハニートラップの達人。そういえば“昔”ちょくちょく耳に入っていた。
短いスカートに豊かな胸元を惜しみなくアピールした服装の彼女に、思わず自分の胸を見下ろす。
ああ、身体と一緒に縮んだもんなぁ......。べ、別に対抗心とか無いけど?私だってハニートラップ得意だったんだからね!最後までしたことは無いけども!
「咲良A......。ふぅん、アンタが転校生ね。」
ぼんやりとそんな事を考えていると、急に彼女に名前を呼ばれた。顔を上げると彼女の視線が真っ直ぐに私を射抜いている。
「ええ。よろしくお願いします、えっと......イリーナ先生?」
にこりと笑って軽く首を傾けると、途端にぱぁっと表情を輝かせたイリーナ先生。
「なによアンタ、生意気かと思ったけどいい子じゃないの!」
「は、はぁ、光栄です......??」
どういう心境なのかは分からないけど良い印象を持たれた様子だ。頭にハテナをうかべながら返答すると、ポニーテール少女が苦笑しながら口を開いた。
「ビッチ先生、名前で呼ばれたのが嬉しいんだよきっと。」
「び、びっち......??」
とんでもねぇ単語が可愛らしい少女の口から出てきた。最近の子ってそうなの??と目をぱちぱちしていると、イリーナ先生が腹立たしげに声を荒らげる。
「あんた達もこの子を見習いなさいよ!!それに、そもそも発音が違う!『bitch』じゃなくて『vic』よ。いい?次間違えたら公開ディープキスの刑だからね!?」
ほんっとムカつくわこのガキども!と、感情をむき出しにしている彼女に、生徒たちは慣れたようにくすくす笑っている。でも嫌な雰囲気なんかじゃなくて、仲がいいんだなぁと感じた。ていうか......
「こうかいでぃーぷきす......。」
やっっっべえ風紀乱れてるけど大丈夫ですかこの教室。あれ??中学生って......あれ??
昔の自分は棚に上げ、思わず呟いてしまう。
「15歳こわ......。」
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いろどり(プロフ) - 実和さん» 返信遅くなり申し訳ありません!ええ!そんな、凄く嬉しいです、待ってくださる方がいる事がモチベーションに繋がります! (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
いろどり(プロフ) - ゑごまさん» 返信遅くなり申し訳ありません!不定期更新ですが、気長にお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
いろどり(プロフ) - ヴァンパイアさん» 返信遅くなりまして申し訳ありません!ありがとうございます、嬉しいお言葉が身に染みます! (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
いろどり(プロフ) - 河川革皮さん» 返信かなり遅れてしまって申し訳ありません!初めてのコメントとてつもなく嬉しかったです、ありがとうございます!頑張ります (2021年3月21日 20時) (レス) id: fed0e41e08 (このIDを非表示/違反報告)
実和(プロフ) - ワワワ、めちゃめちゃ楽しみに更新待ってたので通知来た瞬間飛んできました…!!!!!無理なさらない程度に更新頑張って下さい! (2021年1月14日 23時) (レス) id: 723f2dc3da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いろどり | 作成日時:2020年3月13日 15時