【文スト】とりあえず笑っとけ【暗殺教室】

じゅうななぁ ページ18

いたいけな少女のお願いを無下にすることは流石に出来ないらしく、国木田くんは眉間に皺を寄せながら黙って、大きく“理想”と書かれた何時もの手帳を取りだした。

｢手帳……？｣

イリーナ先生の訝しげな声がぽつりと聞こえる。期待できらきらと輝く不破少女の視線が一層強くなる。他の生徒達も未知の能力に興味津々らしく、身を乗り出してじっと見つめていた。

｢よく見ていろ｣

そう言って国木田くんは取りだした手帳の頁へサラサラとペン先を走らせた。教室中の注目を一身に集める中、書き終えた彼はぴっと頁を破る。

｢『独歩吟客』｣

その瞬間その頁からぶわりと緑色に光る文字が浮かび上がり、生徒たちが瞬きをして次に目を開けたその時には、先程までその手に握られていたはずの一枚の紙が一丁の拳銃に変わっていた。

｢すっげ……｣
｢ほ、本物の銃！？｣

わっと歓声が上がる中、国木田くんはすっとその銃を構えた。驚きで目を見開いた生徒たちだが、国木田くんの狙いは後ろの先生(ターゲット)。

パァンッ

乾いた音が一発。銃弾は軌道を逸らすことなく真っ直ぐに放たれた。

｢ヌルフフフフフ。残念ですが国木田先生、私に実弾は効かないのです｣

｢そんなことは知っている。それにこれは実弾じゃなく麻酔弾だ。流石に子供のいる教室で実弾を飛ばすほど馬鹿じゃないんでな｣

堂々と言い放った国木田くんに、いや麻酔弾でも外したら危ないような……と呟いている渚少年。

｢だーいじょーぶ！流石にこの距離で外すほど国木田くんは下手くそじゃないからね。ま、特別上手いってわけでも無いけど｣

｢A｣

じろりと睨まれ、にへらっと笑って誤魔化した。でもホントの事じゃーん。

じゅうはーーーっち→←じゅうろーっく

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す