検索窓
今日:5 hit、昨日:15 hit、合計:763,721 hit

独りぼっちは寂しいから ページ34

Aside







「なぁ、お前何でこの道場通い始めたの?」

『…誰?』

「俺は佐野万次郎。コイツは場地圭介」

「よっ」

『…』

「で、何で?」







二人との出会いはこの道場から始まった。女で一人浮いていた私に、二人は声を掛けてくれたのだ。







『…家に、帰りたくないの』

「何で?」

『お母さん、鬱って病気みたいなの。だから家に帰るといつもお布団にくるまってるの。ご飯も、お父さん帰ってくるの遅いから、いつも独りぼっちなの』

「…ふーん」

「お前、ふーんって」

「だってそれしか言うことねぇし」







万次郎の第一印象は最悪だった。自分から聞いておいて適当な返事をして。どうせ他人事としか思っていないのだろうと、そう思っていた。すると、万次郎は武道着の懐から棒付きキャンディを取り出して、私にくれた。どうやって隠し持っていたのかは謎のままだ。







「帰りたくねぇならさ、今日家で飯食ってけよ。これもやるからさ」

『…』

「今日だけじゃなくていい。明日も明後日も、お前が食いたい時に来ればいいよ。独りぼっちは寂しいもんな」

『…ありがとう』

「(うーわ、コイツ無意識タラシってやつだ)」







万次郎から貰った棒付きキャンディは、他のと特に変わりはないのに、今まで食べたどの味よりも甘くて、美味しく感じた。









今思えば、あの日から私は飴が大好きになっていたんだなぁ。

罪悪感なんて感情を→←出会ったあの日を



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (281 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1197人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひめ☆そら(プロフ) - かかさん» そう言って頂き光栄です!ありがとうございます! (2021年7月9日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
かか - 更新楽しみです!無理せず頑張ってください! (2021年7月9日 6時) (レス) id: b7e78c6068 (このIDを非表示/違反報告)
ひめ☆そら(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!!無理せず頑張りたいと思います! (2021年6月6日 13時) (レス) id: f06e616829 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください (2021年6月6日 11時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひめ☆そら | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年5月30日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。