きゅんとしたら負け。

年上彼氏.1 ページ18

「Aちゃーん、」
「……先輩うるさい」
「おいブスおらこの野郎」
「ブスとかひどい！先輩の方がブ、ブ、」
「この顔を見てブスと言えるか！ふはは！」



どうでもいい人からのこんな台詞だったら、すぐにでも言い返しているのに。

かっこいい先輩のことをブスなんて言えるわけないのです。

それに、私がちょっといじけてるのは先輩がかっこいいことが理由にもなっているわけで



「女とかしょうもないことで妬いてんなよ」



そう。
他の女の人とも仲のいい先輩に少し怒っているだけ。

しかも私をそばで見かけても気にもかけずに仲良く歩いている。

おまけに「しょうもないこと」？

私は先輩が全てで、先輩の全てになりたくて、好みもわかってあげられていると思っているのに。

私は、先輩のことで頭がいっぱいなのに、それはしょうもないことなの？



好きだから不安になるし、悲しくもなる。


でもなんだかこれって、付き合ってるのに片想い。


ていうか、私たち付き合っているんだよね？






これなら、付き合う前の片想いの方がよっぽど楽しかった。

先輩を見かけるだけで幸せだったあの日々が、すごく昔みたいに思えてくる。


私と先輩、温度差が激しいようにしか見えません。



「おい、いい加減にしろって」

「いい加減にするのはどっちなんですか」

「……は、？」

「先輩は、私の事なんかわかってない」




めんどくさい女だなんて私が一番わかってる


これを機に先輩が私を見てくれる、なんてことが１パーセントも満たないことも、わかってる。

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