二十 ページ20
ドキドキしながら皆と食事をしていると、案の定土方君が顔を真っ赤にしてやってきた。
私は見て見ぬ振りをし、近藤さん達と雑談を交わしていた。土方君は私の後ろに立ち、私を担いだ。
「うわぁっ、ちょ、土方君!!」
「おーう、これはこれはサンタさんよぉ。
随分と華麗なジャブをプレゼントしてくれたじゃねぇか」
「...近藤さん助けて」
「ダメだ、俺からもお返ししねぇとな?」
「こ、近藤さん!殴られる!莉花!終君!死ぬ!
土方君、よく考えるんだ!この世からサンタさんが居なくなれば子供の夢は...」
「っせー黙れ、覚悟はいいな」
土方君が私を担いで少しスペースの空いた場所に移ると私を下ろした。
机がいっぱいある所は危ないからと遠ざけてくれるのがキュンとした、なんてそんな場合じゃない。
助けを求めても周りのみんなは笑っているだけだ。
いじめられてんのか私は。
「カウントダウン有りか無しか選べ」
「そんなん決めれるか!このアホ!」
「あっ、アホだと!?デコピンで済ましてやろうと思ってたのにもう我慢ならねぇな、ビンタにすんぞ」
しばらくそんな言い合いを続けていると、栗色の頭が土方君の後ろに飛んできた。
「Aさんを虐めるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うおっ」
総悟くんは土方君を蹴った。
ざまぁみろと思ったものの、総悟くんの蹴り方は間違っていたようだ。
_______いや私の方に蹴んなよ!?
バタン!!
「いってぇ...大丈夫か?」
倒れて今は土方君が上にのって私が下にいる状態だ。前にもこんなことがあったが、皆の前となると声が出ないくらい恥ずかしい。
私は固まってしまい、身動きも取れなくなった。
後ろに本当は壁があるはずだったが、土方君が私の頭を手で抑えてくれた為、怪我は一切なかった。
「ご、ごめ...土方君」
「...すまねぇ、降りる」
土方君は申し訳なさそうな顔をし、私から降りた。
その後私に手を差し伸べた。
その手を掴み、ゆっくりと土方君は私を上げた。
食堂の皆を見るととてもにやけていた。
「なぁトシィ〜お前ら付き合ってんの?」
その瞬間、私は顔がさらに赤くなるのが分かった。
「つ、付き合ってねー!!!」
「変な事言わないでください!」
「バカ!アホ!」
「ゴリラ!バナナ!!」
「ご、ゴリラ...」
土方君に蹴りを入れた総悟くんはなんだかムスッとしていた。
土方君は皆が笑っているのを怒っている。
その横顔を見て、面白いな。とかカッコイイな。とか。
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年4月8日 19時