十七 ページ17
「太刀筋とか...とにかく整ってるな」
「そうかな...多分、みんなのを何年も見てたからかな」
息が切れて来て額には汗が流れていた。
そして汗を袖で拭った。
「もうやらないの?」
私はわざとらしく笑うと土方君も笑い、
上等だ、と言った。
_______
「はぁ...はぁ」
「ふぅ...体力は...あんじゃ、ねぇか」
一緒に竹刀を振り続け、かれこれ何分経っただろうか。
それでもまだ振り続けていると、土方君が私の手を見て動きを止めた。
「お前、手どうした?」
私は手の甲を見ると横に一線かさぶたになった怪我があった。
自分でも身に覚えがなく、驚く。
「...なんだろう、これ」
「覚えてねぇのか」
「うん...」
土方君は竹刀を直し、手を差し出した。
「ほら、貸せよ」
「え?」
「治療してやっから、貸せ」
私はなんだか懐かしいような気持ちになり手を差し出した。
いつもは私が土方君の怪我を治しているのに、なんだか変な感じだ。
「ほんと、なんだろ...」
「さぁな、何でもいいだろ。
これでいいか?」
私は手の怪我を見て頷いた。
すると土方君は立ち上がって汗を拭う。
ふわりと土方君の香りがしてなんだかあんしんした。
「風呂入ってくる」
とだけ伝えると、土方君は部屋を出た。
私は土方君が居なくなった部屋でただぼーっとしていた。
「もう、12月か...速いね」
両手を後ろに回し、椅子に座りながら横に掛かっているカレンダーを見つめた。
時計を見ると、そろそろみんな風呂に入る頃じかんだと気付いた。
「夕飯の準備しなきゃ」
______
みんな風呂を上がり夕飯を食べ始めた。
美味しそうに食べるもんだから嬉しくなる。
私も食べようと土方君の隣に座った。
「あれ、土方君のサラダドレッシングかかってなかったね」
「あ?...あぁ、別にいい」
「かけた方が美味しいよ。...マヨネーズでいいかな?」
「マヨネーズ...まぁ、良い」
「じゃあかけるね」
私は持ってきたマヨネーズを1握りした。
よくわからないが、前の近藤さんや終君は目を見開いていた。
「Aちゃんんんんんんんんんんんんんんん!?!?!?!?!?」
「お、おい...A、それはかけすぎじゃ...」
「え?かけすぎ...マヨネーズ?」
「そうだよ!?えっ!?Aちゃんってマヨラー!?!?!?」
「マヨラー...というか、美味しいじゃないですか
さ、土方君。召し上がれ」
「...」
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年4月8日 19時