僕らのヌナは、今夜も僕らの夢を見る[SVT]

＃雨の日に嘘を ページ40

____ジョシュアside




「ヒョンたち、ヌナの涙見たことあります〜？」

最近のソクミナの決り文句と言えばそれだった。
この前の広告塔のショートムービーで見かねたAが強硬手段をとったらしいが
あんまり名誉なこととは思えなかった。

それでもソクミナは自慢し続けたし
僕らもいいなぁ、と多少なりとも思ってしまうフシがあるんだから情けない。

「おはようございます、シュアオッパ私がそこで乾かしてたカップ知りませんか？」
「ん？あのプラスチックのやつのこと？」
「そうです」

「…知らない」
「嘘！捨てたんですか？！」

捨てたとは言ってないのにそう察知してAは即座にゴミ箱を見た。
残念ながら今日はプラゴミの日だ。


「…初めてドギョマがご馳走してくれたタルギボンボンのカップ…」

まさかお前、とっておくなんて言わないよな。
…そのまさか、か。

あからさまに落胆するAを見て思わず苦笑いが出る。


「ごめんごめん、怒った？」
「いえ、出しっぱなしにしてた私が悪いです」


僕の顔をチラッと見てへらへら笑うから、僕は気が抜けてしまう。
なんでこう、突っかかるのを頑なにやめるんだ。

僕に突っかかっても僕は構わないのに。

一線を引かれるから、壊してしまいたくなるのに。


「Aや、僕が一番最初にご馳走したのはなにか覚えてくれてるの？」
「もちろん覚えてますよ。
私が日本から来てうろたえてたら飲む？って水渡してくれました」
「まって、それカウントされてるの？水？」
「はい、見ますか？…あっ、もちろんちゃんと洗ってますよ！」
「そーゆーことを気にしてるんじゃないの」

はぁ、って僕がため息をつくとAは
一瞬僕の機嫌を探るような顔をしたけど、すぐに気にしてないふりをした。

僕がこんなことで機嫌を損ねないと踏んでいるらしい。

実際、僕はこんなことじゃ機嫌を損ねないけど
物足りない気分になるのも事実だ。


「水のペットボトルじゃ不名誉なんだ」

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