第141話 ページ44
締めの花火で祭りは終わり、片付けを始める
私も手伝おうとしたが、長谷部に止められてしまった
屋台を片付けていく様子を縁側から見ていると
なんだか名残惜しくも思う
[A]
『宗近さん!』
[祭りは楽しめたか?]
『はい!宗近さんは?』
[あぁ。楽しかったぞ]
『でも、宗近さんの姿見かけなかったですけど...』
[そなたを避けていたからな]
『私を避けていた?』
[俺が傍に居ては花火大会の時のことを思い出すやもしれんからな]
『あっ...』
そうか
私が避けていたんじゃなくて、宗近さんが私の為を思って避けてくれてたんだ
『すみません。気を遣わせて...』
[俺がしたことだ。そなたが気にすることない]
『宗近さん...』
[それに、長谷部と楽しそうにでーとしている所を見るのも避けたかったからな]
『どうして?』
[楽しそうに笑っているそなたのことは好きだ。だが、他のものにその笑顔を見せているところは好きではない]
『それは、つまり...』
[三日月宗近だけではなく、本丸の皆にまで妬いてしまうとはな...]
宗近さん...
『大丈夫。私は宗近さんの彼女です。だから心配することは何もないですよ』
[...そなたは、いつも俺の欲しい"言葉"をくれる。だが...俺は"言葉"が欲しいわけではない]
『え?』
[あの時...そなたが三日月宗近に口付けされていた時の瞳が忘れられないのだ]
『瞳?』
[俺には見せない瞳をしていた。言葉にするのであれば"愛おしい"と表現になるだろう]
『わ、私は三日月さんとは__』
[ならば、何故抵抗しなかった?]
『そ、それは...』
[まだ、あやつを想っているからだろう?]
『...っ!』
[宣戦布告を受けた。俺は三日月宗近にそなたを渡すつもりはない]
『宗近さん...』
[はっはっは。独占欲というやつは、やっかいだな。俺は普通ならば、主の幸せを願うべき存在だというのに...]
私は宗近さんを苦しめてばかりだ
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年1月3日 9時