陽の目にも涙【巴日和】 (ページ10)

今日:21 hit、昨日:36 hit、合計:43,865 hit

(10) ページ10

*

「僕もたまに自信がなくなるんだね。Aちゃんが少し帰ってくるのが遅かったら別の男のところに行ってるかもとか」

「ちょ、おひいさんそろそろ飲むのやめてくださいよぉ?」

「いやだね!僕は僕の好きなだけ飲むんだね!それよりジュンくん!僕の話を黙って聞くんだね!」

「んな理不尽な...。」

＿＿＿＿

「あれっ、久しぶり」

ちょうど顔にパックをして終わった頃、インターホンが鳴ったと思えば玄関の前には珍しいお客さんと日和君

ことのあらましを聞けば何だかうちの旦那はジュン君にだいぶん苦労させているみたいで...

「ごめんね、迷惑かけたみたいで」

「いえ、俺がいたのにこんなベロンベロンにさせちゃってすみません」

「ううん、日和君のわがままで酔っちゃったわけだし、ジュン君は気にしなくていいよ。むしろ旦那をここまで送ってくれてありがたいよ」

良ければ上がって?と言えばジュン君は少し躊躇した後、お邪魔しますと家に上がって日和君をソファまで運んでくれた。

「日和君ぐっすりだ」

「サシ飲みだったんすけど、おひいさんもう惚気とか嫉妬が止まらなくて」

「結婚報道してないから気をつけて欲しいんだけどね」

紅茶を1杯入れて、ジュン君に出せばぺこりと会釈をされた。

彼とは日和君を介して知り合っただけで、今の今まで大した関わりもなく過ごしてきた。

なんたって、日和君が「僕がいるのに他の男とお話するの!?」だなんて妨害してくるからだ。

だから何となく、こんな機会滅多にないなって家にあげてみた。

でもその何となくは彼には緊張の種だったらしく、家に上がってからというものどこか硬い。

「適当に座ってもらっていいよ。そんな緊張しなくても、私はジュン君のこととって食ったりしないよ」

「いやあ、それはわかってんすけど...。いざ人気女優の花橋Aさんとじっくり対峙するってなったらそりゃあ」

「それはこちらこそだよ。人気アイドルの漣ジュン君」

そう返せば、ジュン君は少し楽しそうに笑った。

「そうっすね、今更緊張するのもおかしいですよね」

「そうそう。日和君Edenは家族って言うでしょ?だからその理論でいけば私もジュン君も家族だよ」

「その家族の家族はみんな家族〜みたいな謎の繋がり、俺にはちょっと理解出来ねえっすよぉ」

打ち解けてきたジュン君。お菓子も出してやればイチゴ味のお菓子を美味しそうに食べてくれた。