大切な人の席【江戸川乱歩】

18席 ページ35

Aside

ささ、急げ急げ〜

逃げ込むとなったら彼処ら辺だろうけど、あまり知られてないことがあるんだよね

近くに野良犬が住み着いちゃってるから、若しかしたら襲われてるってことがあるかも

「えっとここら辺だと思うが」

幸い、あの野良犬は居ないそうだ

「おっいたいた。よーしよしよしよし、お八つあげるからねぇおいで？るーるるーるﾁｯﾁｯﾁｯ」

見知らぬ人だからか、全くもって来ないんだけど。すっごい威嚇されてるだけど

前に頼まれた犬探しとか猫探しでよく警戒されてたけど、その時よりすごいよ。歯茎綺麗に見える

流石に精神削られるぞ？

「仕方ない……オラァア！ッシャア！痛ァ？！」

犬に突っ込み捕まえたのは善かったが、勢いよく犬の尖った歯に頬をぶつけた

やべぇやべぇ、今迄経験したことないぐらいの暴れよう

急いで捕まえたことを知らせるために探偵社に戻った

扉を開くと何処に行っていたのか解らないが、タレ目君と黒髪ちゃんが居た

「た、田中アルティメット太郎！」

ネーミングセンスどうなってるんだ

何で苗字までつけたんだよ。動物病院の時どうするんだよ

「あ、ありがとうございます！」

「一応、病院に連れてった方がいいかと。隠れてた場所は、結構獰猛な野良犬がいる場所だったので」

「は、はい！…あのお名前聞いても？」

「？島崎です」

「今度お礼にお茶に行きませんか？厭、行きましょう！明日のお昼に外で待ってます！それでは！」

……えっと？

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