クル先のマブは美術教諭【twst】 (ページ16)

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ひやかしトーク！ページ16

〈美術室〉

｢ハナゴイせんせぇ〜｣

放課後、美術室に現れたのは背の高い澄んだ海のような色の髪の持ち主。フロイド･リーチだった。

｢おー、フロイド。どうした。｣

｢ハナゴイせんせぇさぁ今日イシダイせんせぇとケンカしてアカイカせんせぇに怒られたって聞いてさぁ、からかいに来たの〜。｣

｢暇かよ、明日完成させなきゃなんだから帰りな。部活は？｣

｢気分じゃなぁい。そんでさぁ、ハナゴイせんせぇ魔法史受けようとしてたって聞いたんだけどぉ、せんせぇ魔法史好きなの？それともアカイカせんせぇが好きなのぉ？｣

｢……なるほど、からかいに来たってそういうこと。｣

フロイドを拗ねさせると面倒なことは知っていたし、どうしようかな。ランドルフはため息をついた。

｢……トレイン先生は尊敬できる先生だよ。昔からね。それと、オレは魔法史好きだぞ。というか昔から勉強が好きだった。想像つかないだろ？｣

｢…………いや、別にぃ。アズールと似た感じするし。｣

｢そうか？まあオレもオクタヴィネル寮生だったからな。｣

フロイドは思ったよりからかいがいがなかったためか、つまらなそうな顔をした。

｢……せんせぇは海の偉人で誰が一番好き？｣

｢……そうだなァ、“デイヴィ・ジョーンズ”かな。｣

デイヴィ・ジョーンズは輝石の国や英雄の国、茨の谷に囲まれた海、“海賊の海”で活躍した海賊の一人だ。

｢あ〜そっちの海ね、アースラとかじゃないんだぁ。｣

｢もちろんアースラも好きだけどね、デイヴィ・ジョーンズは映画もやってたけどさ、凄い切ないんだよ。愛のために自分の人生を……！泣ける……っ！｣

｢……へぇ〜以外。愛とか恋とか嫌いそうなのに。｣

｢そう？｣

｢せんせぇさ〜、好きな人とかいんの？｣

｢そっちこそ以外。恋バナ？｣

ランドルフは少し茶化してみたけれど、フロイドは何故か真剣な顔をしていたから、ちゃんと答えることにした。

｢……いないよ。｣

｢……本当？｣

｢アア。本当さ。……なんでちょっと嬉しそうなンだよ。失礼な奴だな。｣

｢え〜、別に嬉しそうじゃねぇし。｣

｢お前は？好きな人いねぇの？｣

｢……え〜、ナイショ。｣

｢なんでだよ、俺喋ったのに。マァお前案外一途そうだしな、頑張れよ。｣

｢……好きな人いるなんて言ってねぇし！｣

フロイドの耳が赤くなっていた。ランドルフは褒められ慣れてない子だなァなんて呑気に考えているが、実際どうなのかはフロイドしか知らない。