捌話 ページ10
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いつの間にか眠っている私がいる。これ、明晰夢だ。
ああ怖い。
私は道の真ん中にポツンと立っていてそんな私に誰も気づかず通りすぎてく。
ソッと誰かに触れようとしても私の手は幽霊みたいにさわれない。触れられない。温度さえも感じない。
体がフワフワしてる。声が出せない。足が前に行かない。動けない。
空には大きな積乱雲が出来ていて雨が降ってきた。
雨特有の匂いと傘をさす人々。
私は何で転生したんだろう、そう思ってしまった。だって、私が転生して何か変わるの?
原作とか変えちゃだめでしょ。
「…い、ーろ。ーーっ!!」
とりあえず行かなきゃ。声のする方へ。
「……おはよう」
「おはようじゃねぇよこの阿呆!!」
怒られました。
今日二回目じゃないかな怒られたの。
パチパチと目を開けたり閉じたりすると目の前に森さんが現れてきた。
なんでだ。
「大丈夫?魘されてたけど」
「……あい」
魘される要素どこにあったと頭を回転させる。だがないぞこん畜生。
涙のせいで前が見えなくなるからと思って涙を拭おうとするとぐいっと首を曲げて中也が涙を拭き取った。
なんだこの優男。こうやって女を落としてきたのか。
「お前、殺されてぇのか」
え、と声を洩らすと中也がため息をついてまた口を開く。
「寝言で『なんで殺さないの』つったろ。あれが本心だろ」
いつの間にかいた太宰さんも含め3人が私を見つめてきた。
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作者名:拳銃 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月12日 23時