拾肆話 ページ16
.
涙がドバーと溢れでてきた。
「うえっ…うっ、く、ひっく、うー…」
瞬きせずとも滝のように流れ出る涙に成す統べなし。
そんな私を見たお兄さんは私を抱っこして背中をポンポンと叩いてくれた。
「ほら、鼻かんで」
ティッシュを鼻に当てられたんだけど流石に恥ずかしいので奪って鼻をかむ。
そんな、そんなこどもじゃない。
「ごめんね、何か厭なことでも思い出したかな」
思い…分かんない。
ただ、厭な感じがあった。真っ暗で冷たくて、逃げようとすると手を伸ばしてきて。
"あれ"はなんだったの、誰だったの。
昔の私なの、前世の私なの。
「…黙りだと、分かんないよ?」
また、髪を撫でる。
優しくて大きくて誰かに似てる大きな手。あー、なんかピアノとかやってそう。
ピアノか。かっこいいな。
そんな単純なことを、考える。いやちゃうわ。私が今考えんのってこれからのことだわ。やだな。
当然、行く宛もない。
頼れる人もいない。
「すっごい顔だけど」
「……ふえっ」
「うそうそ!うそだから泣かないの!」
ちょっと今メンタル面が故障中だ。
154人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:拳銃 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月12日 23時