第29話:クラス内の派閥 ページ31
そっぽを向くレオン、居心地の悪そうな顔で頭をかくクリス先生、その先生を見つめる私。先ほどから先生の横で、こうなった原因を私に聞こえないくらい小声で説明する肩につかない程度の長さの黒髪に、紅玉の瞳を持った女の子。そして周りで遠巻きにその光景を眺めているクラスメイトたち。中庭にはそんな奇妙な構図が出来上がっていた。
「先生、レオンくんとオリヴィアちゃんはもう基礎魔法完璧に使えてた。だから退屈で腕試ししてただけだと思うんだ。」
「あれは危険な行為なのよ。簡単に許すわけにはいかないわ。
現にオリヴィアちゃんはムキになってレオンくんに怪我させるところだったんでしょう?」
「最初に手を出したのはレオンくんだよ。先生がイリンちゃんに何を聞いたか知らないけど、オリヴィアちゃんは友達のアイリスちゃんを守ろうとしてただけ。」
その構図を壊したのはキースだった。彼は私らのところへ進み出てきて言った。先生は締まりのない表情をぱっと引き締め、キースに対応する。
その話の中に出てきた『イリン』という子は先生に現状説明をしていた女の子の名前らしい。そして多分だったけど同じ班のメンバーだったような気もする。
キースの話とクリス先生が聞いた話が噛み合わなかったからだろうか、先生は怪訝な顔をして遠巻きに見ている子たちに事情を聴き始めた。
*
全員に話を聞き終わるのにはだいぶ時間を要した。言葉が苦手で要領よく話せない子もいるから仕方のないことだけれど。
全員の話をまとめた結果、奇妙なことに話は3つに分かれた。私が一方的に突っかかりレオンに攻撃したと話すのがイリンやレオンの取り巻きを合わせて11人。キースが弁解してくれたように真実を話すのが彼とアイリスを含めて10人、練習に夢中で全く見てなかったと話すのが8人。
自分で言うのもなんだけれどもあれだけ派手にやらかしている中で、こちらを気にしないなんて余程図太い神経の持ち主でなければそうそういない。きっとレオンや私とあまり関わり合いたくないと、知らないふりをしているのだろう。
話が1つにまとまらなかったこともあり、私とレオンは厳重注意で終わった。しかもキースが機転を利かせてくれて僕ら2人は次回から1つ上の学年と合同で初級魔法を学べることになった。
大きな騒ぎになってしまったので、今日の授業はこれで終わることとなりみんな部屋へと帰される。呪文を唱えていないのに発動した魔法に関しては未だに謎が残ったままだった。
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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時