【魔法と学園モノ】〜理不尽な世界でも君と笑いたい〜

第19話：授業方針 ページ21

自分の身長じゃ壇上のマイクまで届かないので、近くにいた先生が台のようなものを用意してくれた。職員室で挨拶をすることを告げられてから考えていた内容を読み上げる。

最初に入学式を開催してくれたことへのお礼、次に入学する喜び、在校生と関われることの嬉しさを変に大人ぶらないような口調で読み上げていく。

一応、こう言った挨拶の仕方はお母さんから聞いていたので緊張していたとはいえ、そこまで戸惑うことはなかった。


「この魔法学校で一生懸命勉強して、立派な魔導士になれるようにがんばります。お兄さんお姉さん、私たちと仲良くしてください。これからよろしくお願いします。」


全て言い終わってぺこりと頭を下げると会場から拍手が送られる。壇上から自分の席に戻るときにちらりとアイリスを見ると本当に嬉しそうに笑っていて、その隣ではレオンが私を睨み殺さんばかりに凝視していた。

他のプログラムも終わり在校生たちの拍手に見送られる中、私ら50期入学生はそれぞれのクラスに戻った。

教室に着くと先生からのお祝いの言葉をもらい、それが終わると今度は先生の自己紹介が始まった。


「はい、１年A組の皆さん。私の名前はクリスティーナ・ペルスュイです。クリス先生って呼んでね！」


肩より少し長めのブロンドの髪を一つにまとめあげ、にこやかに笑うクリス先生。彼女は見るからに若く、話によると今年が先生になって始めの年らしい。

クリス先生はそのままの状態で、今後の授業予定を黒板に書き出していった。

一学年時には簡単な基礎魔法と祈祷師(シャーマン)の技術である祈祷、呪術師の技術である呪い、そして魔力量を増やすための訓練をするそう。

この学校には「等級」というものが定められていて、それは年に5回行われる定期試験時に測られ、その成績がその学年が目指す基準値を超えていれば、どの時期でも次の学年に進級できる。

例えば１学年終了時の目安等級は6級の「基礎魔法を使えること」で、１学年1回目の定期試験でその技術を身につけていればその人は晴れて２学年に進級できるというわけ。


「みんな遠くからきて疲れてるだろうから、今日はここで終わりにします。それではみなさん、さようなら！」


挨拶をすませるとみんなそれぞれに席を立つ。私もアイリスと帰ろうと、彼女のいる方へ歩こうとした時、目の前にレオンが立ち塞がった。彼の顔は何故か恥辱を受けたように歪んでいた。

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