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prologue ページ1

何者もを虜にするくらい綺麗に輝く、薄い琥珀色の長髪を風になびかせながら1人の少女が空を見上げた。その背丈は小柄で、近くを通りかかったどの子供よりも小さく見える。大きな瑠璃色の瞳を不安そうに細めて、もの寂しそうに笑う少女は今にもどこかえ消えてしまいそうなほど儚く見えた。

昼も過ぎ去り日が沈みかけていて、茜色に輝いた太陽が山陰に隠れようとしてしている。

少女はただ1人、子供が喜びそうな遊具がたくさん置いてある公園のベンチに腰掛けて、耳を済まさなければ聞こえないほど小さな溜息をひとつこぼした。


「あっ、やっぱり、こんなところにいたのね。探したのよ!」


誰かが声をかけ、支えてあげなければ何か大きな不安に押しつぶされてしまいそうに見える少女の元に近づく影がひとつ。

ゆるくウェーブがかかった肩までの茶髪を揺らし、宝石を思わせるような翡翠色をした瞳を輝かせながら、茶髪の少女は笑う。その微笑みはベンチに座る少女と対照的にきらきらと輝いていた。


「……アイリス。私、すごく不安なの。」


地面に伏せていた瑠璃色の瞳を、茶髪の少女、アイリスに向けて少女はポツリと呟く。

アイリスは少女の目に浮かんだ涙、不安を吹き飛ばしてしまえそうな笑顔でふにゃりと笑った。


「大丈夫よ、オリヴィア。結果がどうであれ私たちが離れなければいいだけだよ!」


アイリスは薄い琥珀色の長髪の少女、オリヴィアの隣に腰掛けて、オリヴィアの揃えた膝の上に乗せられていた手に、自身の手を重ねる。同年代の子供と比べるとかなり小柄なアイリスだが、オリヴィアの隣に並んで座ると、アイリスの方が少しだけ背が高いように見える。

オリヴィアは重ねられた手の上からさらに自身の手を重ねて、縋るような瞳でアイリスの顔を覗き込んだ。


「……うん、うん! 私たち親友だもんね、まだまだいっぱい遊ぶんだもんね!」

「あたりまえよ! 明日はルーファスも交えなきゃね。あいつ少し嫉妬深いから、きっと妬いちゃうわ。」


アイリスの何があっても曇らない眩しい笑顔につられて、オリヴィアも心の底から楽しげに、そして嬉しそうに屈託のない笑顔を見せた。

憂いを帯び、沈んだ瞳で夕焼けを見つめていたあの面影は全くない。オリヴィアはただ、年相応に純粋な笑顔を浮かべる少女になっている。


アイリスとオリヴィアは手を繋いで立ち上がり、並んで歩き、それぞれの家族が待つ家へ帰っていく。

するとちょうど太陽が見守る役目を果たしたかのように沈み、暗闇が訪れた。

setting→



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えるふぃ(プロフ) - ゆいな♪さん» ゆいな♪さん、ストーリーをお褒め頂きありがとうございます(*´ω`*) 描写頑張った甲斐があります!これからもっともっと引き込んで行けるように頑張りますね!応援ありがとうございます! (2019年8月24日 23時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいな♪(プロフ) - あわわ、す、すごいです!ストーリも分かりやすいので、凄い引き込まれます!更新頑張ってください! (2019年8月16日 13時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ぽむぽむぽあろさん» ぽむぽむぽあろさん、ありがとうございます!そんな風に褒めてくださって嬉しいです!読み手に情景が伝わるように書くのが目標だったので(*´ω`*) 夏休みに入ったら更新速度上げられるように頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年7月30日 22時) (レス) id: 2cfa1564f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむぽあろ(プロフ) - 設定がしっかりしてるので、お話の内容がアニメーションになって頭の中に浮かびます。とても面白くて好きです。もっと伸びてておかしくないと思うので更新頑張ってください! (2019年7月30日 12時) (レス) id: b97deb3170 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - ちょこころねさん» ちょこころねさん、はじめまして!世界観とキャラの設定は一番力を入れたところなので、そこを褒められるとめっちゃ嬉しいです!文章長いのに一気読み、おつかれさまです!ちょこちょこ更新するのでよろしくお願いします! (2019年1月18日 10時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:えるふぃ | 作成日時:2018年9月23日 21時

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