いえす、さー ページ18
その後の頑張りで、どうにか休みの分を取り返すことはできた。ただ問題を上げるとするならば、仕事を終えてからも恋だの愛だのと煩かったのが難点。そんな彼女を追い返して、漸く一人になった。
「んー…」
大きく背を反らして一息つくと、背後に視線を感じた。振り返らなくてもそれが誰かなんて分かってしまうのが、ここ最近の私だ。
「こんにちは。」
イルミ「やぁ。」
合鍵を渡した覚えなんて全く無いんだけど。この人は一体何処から入ってくるんだろう。
そう考えていると、「企業機密だよ。」と澄まし顔で返された。
…っていうか、考えていたことをさらっと読み取られちゃったことだって甚だ疑問なんですけど。
そんな心情を知ってか知らずか、彼は怪訝な表情を浮かべて部屋を見渡すようにした。
イルミ「…。」
「?どうかしましたか?」
イルミ「人間の匂いがする。」
「あぁ、さっきまで職場の後輩が来てたので。」
暗殺者って嗅覚も鋭いんだな。
なんて考えていると、彼はますます眉をひそめて言う。
イルミ「…なんで?」
「え?何でって…お仕事ですもの。」
イルミ「ふーん…。」
珍しく感情を表に出した彼は、不満気に私を見る。そして、思いもよらぬ質問をしたのだ。
イルミ「お前、俺の事好き?」
「_____は?」
まじまじと見つめてそんなことを聞いてくるものだから、驚いて声を漏らしてしまった。対一般人だとすれば、ここで何かしら考えた回答を示すのだろう。…だけど、私には一生突き通さなくてはならない嘘があるのだった。
「…___好き、ですよ。」
選択肢なんてハナから無かった。
彼だってこう返って来ることを分かって尋ねたはずだ。
イルミ「…へぇ。」
そう呟くと、彼は何故だか依然として不満気なまま家から離れていった。
相変わらずよく分からない人だな。
と、何度目になるのか分からない感想を口にした。
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かにかま(プロフ) - セナさん» コメントありがとうございます。誉められて伸びるタイプなので、そう言って頂けて嬉しいです笑 (2020年6月6日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
セナ(プロフ) - あまりに面白くて一気読みしてしまいました!素敵な作品をありがとうございます! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 9a1a35c746 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - たまご登りさん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです(^^)ソイヤッ (2020年4月28日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
たまご登り - めちゃくちゃ良いですね!!!!コミカルさもありつつちゃんと展開がされているところに作者様の賢さが見受けられました!!とても楽しくキュンキュンしながら拝読しました(^o^)ソイヤッ (2020年4月27日 0時) (レス) id: 080b2c3a82 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - わちこさん» コメントありがとうございます。応援して頂けたてとても嬉しいです(^^) (2020年4月24日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2020年3月22日 17時