生き疲れ ページ15
イルミside
…と思ったは良いものの、実のところ被害を被っているのは俺の方だった。
彼女は意図している訳では無いのだろうが、核心を突くようなことを時々発するのだ。
その度に俺は頭を掻き乱される様な困惑を感じている。
イルミ「…楽しいの?こんなの。」
「ふふふ、楽しいですよ。イルミさんも、やり甲斐があるからそのお仕事してるんでしょう。」
イルミ「…………まぁ…そう、かな。」
仕事にやり甲斐だなんて探したことがなかった。幼い頃からお前はこうなるのだと伝えられてきて、それをそのまま鵜呑みにして育ってきた。
「私、昔は雨って嫌いだったんですよ。ジメジメしてるし、外で遊べないし。」
イルミ「ふーん。」
「でも、大人になってから好きになれたんです。この雨音とか、静かな雰囲気とか…。時が経つと気付くものってありますよね。」
イルミ「…。」
成長して捉え方が変わったものなんてきっと無い。身体的成長や技術力の向上ならば誰にも負けないと思うけど。
「…心配してくれてありがとうございます。イルミさんは優しいですね。」
挙句の果てにはこれだ。
そんな事、生まれてこの方一度たりとも投げかけられたことがない。
イルミ(キルだってよく言っていた。“俺は兄貴ほど冷酷にはなれないよ。”って…。)
俺は生まれた時からエリートだった。
暗殺者として申し分ない資質を持っていると、母さんはよく褒めてくれた。
…でも、いつからか心の何処かで孤独を感じるようになっていたのかもしれない。
いくら頑張っても俺が当主になることは無いし、いくら熱心に働いても化け物を見るような視線を向けられることに変わりはない。
それが当たり前で、期待なんてさらさらしていなかった。
だけど、目の前のコイツ…Aだけにはその常識は通じないらしい。
イルミ(お前って面白い奴だよな。……馬鹿だけど。)
と、心の中で呟いてみた。
気持ちよさそうに眠る彼女が気付く様子は無かった。
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かにかま(プロフ) - セナさん» コメントありがとうございます。誉められて伸びるタイプなので、そう言って頂けて嬉しいです笑 (2020年6月6日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
セナ(プロフ) - あまりに面白くて一気読みしてしまいました!素敵な作品をありがとうございます! (2020年6月6日 19時) (レス) id: 9a1a35c746 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - たまご登りさん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです(^^)ソイヤッ (2020年4月28日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
たまご登り - めちゃくちゃ良いですね!!!!コミカルさもありつつちゃんと展開がされているところに作者様の賢さが見受けられました!!とても楽しくキュンキュンしながら拝読しました(^o^)ソイヤッ (2020年4月27日 0時) (レス) id: 080b2c3a82 (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - わちこさん» コメントありがとうございます。応援して頂けたてとても嬉しいです(^^) (2020年4月24日 2時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時:2020年3月22日 17時