女子高校生と自転車11 ページ39
「はーやーく。もう日が暮ちまう。」
“こんなもんlevel.1だぜ?”と言われた。
「私にとっては、level.100くらいなの。慣れてないの。今まで呼び捨てで呼んだことなんてほとんど無いのー。」
「何でィ、日本語だろィ?しかもたった3文字。“そ”と“う”と“ご”だけ発音すりゃ済むんでィ。」
「…それが贈り物で沖田君は満足なんだ……。」
「たりめーだろィ。だって、それがお前にとってどれだけムズいことか知ってるからな。そう来りゃ、言わせねェ理由なんざねーだろ?」
「やっぱり性格悪いよこの人。」
要は、沖田君は、私があたふたしている所を見たいだけじゃないか。
「大丈夫大丈夫。見ねェから。聞いてるだけだから。」
「心の声まで聞かなくても良いような気がするんですけど!?」
将来警察にでもなれば、沖田君の手に掛かれば事情聴取なんて必要ないかもしれない。
…あれ、この人そういや原作は警察…だったな。…いやぁ怖い。当たりすぎて怖い。
「というわけでむ、無理だから!」
「…俺はこんなに想ってんのに、アンタは名前ですら呼んでくれねェんですかィ。」
「…え?」
「不安なんでィ…。Aがずっと側にいてくれんのか…。」
沖田君の表情が不意に陰った。今にも消えそうな顔が夕焼けの赤に染まり、哀愁が漂っていた。
そんなことを言われると、私も、放っておけなくなって。
「……わ、分かった!分かったから!…ごめん。ちゃんと呼ぶから…。その、…ちゃんと。…そ、……そう……。っ…!………そ、……………総悟って…!!」
思いきって言ってみた。…名前を呼ぶだけのに。
「慣れて言えればlevel.2はクリア、かねィ。」
満足そうに微笑んだ沖田君…いや、総悟の顔を見ると、私まで嬉しくなった。
慣れた頃には居なくなってるだろうけど。
(…ちょろいな。)
自転車をこぐ沖田君がそんな風に思いながら悪そうに笑っているなんて、私は夢にも思っていなかった。
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夕鈴(プロフ) - ぱるむさん» ぱるむさん、コメントありがとうございます!返信遅くなってしまい、申し訳ありません。お楽しみ頂けたようで、何よりです♪まさか、完結に4作品分もかかると思ってませんでした…。グダグダでしたが、ここまで長きに渡りお付き合い頂き、誠にありがとうございました! (2020年6月22日 16時) (レス) id: 682d5e9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむ - 完結おめでとうございます!すごく面白かったです! (2020年6月7日 23時) (レス) id: 4fbbe91aff (このIDを非表示/違反報告)
夕鈴 - チョコさん» チョコさん、コメントありがとうございます^^*課題、大変ですよね…分かります(><)お忙しい中、毎日読んで頂けて嬉しい限りです。次回作は、ほぼ練ってあるので近日中に書き始めると思います。是非是非、訪れてみて下さいね。長きに渡るご愛読ありがとうございました! (2020年5月30日 18時) (レス) id: 682d5e9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - 初コメです!!完結おめでとうございます!!課題をやらなきゃいけない中でも、夕鈴様の作品は毎日必ず拝読させて頂きました^^次回作も必ずみます!頑張ってください! (2020年5月30日 11時) (レス) id: 44f70498cd (このIDを非表示/違反報告)
夕鈴 - ういさん、コメントありがとうございます^^*楽しんで頂けたようで、何よりです。読者の皆様の存在があってこそ、最後まで書き終える事が出来ました。感謝の気持ちでいっぱいです。ご愛読、ありがとうございました。次回作にもご期待下さい!なんて…(^^; (2020年5月30日 9時) (レス) id: 682d5e9ca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夕鈴 | 作成日時:2020年5月7日 19時