沖田さん、それ以上近づかないで下さい【沖田総悟】

沖田さんはお巡りさん8 ページ10

「成程ねィ、だからあんなにビクビクしてたっつー訳」



「…」



こくりと頷くと、



「じゃあ勿論俺の事は怖い、と。」



と彼は言った。



「…………ごめんな…さ、い…。」



もう分かっただろう。諦めて早く帰ってくれ。頼むから、お願い３００円あげるから！！



しかし、沖田さんはニヤリと楽しそうに笑った。




「…面白ェ。」




「……え？」




「いや、怖がってる所見るの、面白ェじゃねーですかィ。」



「…は？今なんて…」



「だから、俺見て怖がって、ビクビクしてる反応見んのが面白ェって言ってんでさァ。」



「え、面白い…んですか？それ…が？」



「あァ、考えただけでもゾクゾクしやすね。」



クククと黒い笑みを浮かべる沖田さんの表情に、私は危機感を覚えた。



(…ヤバイよ、この人……。絶対歪んでる…)



何というのか、Ｓ的思考？この人、明らかにヤバイ雰囲気まとってるし！？




(…はっ、思い出した…！)




思い出してしまった。この人、そういやこの間の新聞に載ってた人だ！




“ドＳ王子”と大きな見出しが掲げられており、バズーカ持ったこの人と、半壊のお店の写真が載ってたっけ…








((うちの店を破壊するつもり…！？))




この人、まさか…まさか！うちの店に恨みか何かがあって、壊しに来たんじゃ…





「あのっ…！」




私が言いかけると、




プルルルル、プルルルル



と電話の着信音が流れた。


「あっ、すいやせん」


沖田君が携帯を開けると







「てんめっ、総悟！！！！どこほっつき歩いてんだお前は！！！今すぐ戻らねーと切腹だぞコルァ！！！」




携帯を耳に当てなくても聞こえるくらいの怒号がキーーンと鳴り響いた。




「ったく、煩ェなァ。」



「んだとコラ！！ふざけてんじゃねーぞテメェ！！！」



「へいへい、分かりやしたよ。」




面倒くさそうな顔をして沖田さんは携帯を切ると、椅子から立ち上がった。




「つー事で、今日は戻りまさァ。土方がガミガミ煩ェんでね。」




「…あ、……はい。」




よっし、やっと帰る気になったか沖田少年！もういいから、とりあえず出てって！そして、後ろを振り向かず一生来るんじゃないぞ。



「じゃ、また。」




「…へ？……また？」



…“また”とは何だろう。どういう意味だろう。お詫びもしたし、もうココに一生用は無いはず。



「丁度良いサボり場を見つけたんでねィ」


彼はそう言ってふらりと出ていった。

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