沖田さん、それ以上近づかないで下さい【沖田総悟】

沖田さんはからかい上手1 ページ32

私は今、本番前のリハーサルを行っている。



｢…………この間…っ、ありがとうございました！…………………うーん……。なんか違うなぁ……。｣




沖田さんの隊服を持ちながら、考え込む。




｢この間、ありがとね！…………うーん…違う、えっと…………こ、この間は……どうもありがとう！…なんか変…。えっと、この間は…｣





｢何やってんでさァ。｣





｢ふえっ！？！？｣






耳元で低い声が囁かれた。







恐る恐る振り返ると、ニコッと笑った沖田さんが立っていた。





｢……あ………えっと……｣





｢練習の成果、見せてくだせェよ、Aさん。｣




｢っ…！/////｣




聞かれていたのかと思うと、恥ずかしくて一気に体温が上昇する。





｢き、聞いてたんですかっ…！？！？｣






｢ンなもんどうでもいいんでさァ。さァ、早く。｣






聞いてたんだったらもういいんじゃ、みたいな甘い考えが浮かんでくる。すると、





｢ダメでさァ。ちゃんと面と向かって言ってもらえねーと、俺馬鹿だから分かりやせん｣




と見透かされるように言われた。そのニヤニヤした彼の顔は、うちの店に来るちびっ子達の無邪気で好奇心旺盛な目と同じだ。





｢……絶対聞いてた癖に…｣





｢これも練習のうちでさァ。｣

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