言語 中也side ページ6
人間の女にあったあの日から、数日間同じ場所でずっと待っていた。が、一向に来る気配がない。
「(今日来なかったら、もう諦めるか…)」
そう思いながら、目を瞑っていた時だった。
俺が待ち望んでいた声が聞こえ、その方向を見る。…来てくれた。そのことに安堵し、嬉しい気持ちがこみ上げる。
今日は距離を取らなかった。女の顔をよく見てみると、やはり整った顔立ちをしていることが分かる。綺麗な瞳だな…
すると、またあの笑顔になった女は、突然俺の頭を優しく撫で始めた。
「(うぉ…っ⁉何だコレ…気持ちいい)」
『んふふ、よーしよし、可愛いねぇ』
相手から触れてくれたのが嬉しくて、暫く大人しく撫でられていると、女が何かを持っているのに気付いた。
じっと見ていると、女が布を広げた。
出てきたのは、おそらく人間の食べ物。その中で俺が気になったのは、独特な匂いのする液体。手を伸ばすと、女が液体を手のひらに注いで差し出してきた。
『手で掬ってあげるよ…ほら、どうぞ？』
少しきつい匂いに戸惑いながら口をつけてみる。
「！…うめぇ」
『え…⁉今、もしかして喋った!?』
これ、めちゃくちゃうまい。何だコレ…！もっと飲みたくて、言葉の代わりにジェスチャーで表す。
『ちょっと待っててね…』
なんとか伝わったようで、女はまた液体を注いでくれた。
「ありがとよ、これが1番うまかったぜ」
他のものも食べたが、やはり液体が1番うまかった。うまい液体を3口ほど飲んだあと、女に礼を言った。
『ん〜…？』
「(俺の言葉だと伝わらねェな…)」
女は首をかしげ、困った表情を浮かべる。
お互いの言語が分からない。せめて、名前でも知ってもらいたいし、女の名前も知りたい。
俺は、自分を指差しながら、何度か名前を伝えてみる。
「ちゅ、う、や！」
『…えっと、あ！もしかして名前？“中也”っていうの？』
「中、也」
「中也！……私は、A、A」
今度は女が自分を指差しながら言った。
“A”…それが、この女の名前か？
「A」
『そうそう！私の名前だよ』
嬉しそうに笑うA。
言葉が通じなくても、Aと心で通じあえた様に感じた。Aに俺の名前を呼ばれたことも、嬉しかった。
まさか、人間と関わる日が来るとは思っていなかったが、案外悪くねェもんだな。
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おみくじ結果は「末凶」でした！
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます！4期見ています！出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…！✨ (2023年3月30日 23時) (
レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます！そういえば、文スト4期始まっていますよ！！ (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています！ (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます！ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります！ 7月からでしたっけ…？一期がまた見られるらしいですね、楽しみです！ (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヨモギ雲 | 作成日時：2021年1月22日 13時
