芥川 ページ49
「入れ」
『お、お邪魔します…』
くしゃみを連発していた私のことを見かねてか、芥川さんは私を拠点である小さな小屋へと入れてくれた。
…憐れむような目を向けられたことは別に気にしていない。
「取り敢えずその濡れた服をきがえろ。そのへんに妹の服があるはずだ」
『妹さんがいらっしゃるんですね』
「無駄口をたたくな」
『はい』
社交的な人ではないことが分かった。
のんびりしてる暇はないので、顔を隠せるような目立たなそうなものを選んで素早く着替える。
うん、サイズも大丈夫そうだ。
「僕は中也さん捜索のため、妹と陸で行動している。薬の効き目は問題ないが、処刑まで時間がないなら急がなければならない」
『はい、処刑は6日後のはずです。…私の考えでは、国民の皆さんにも海の侵攻作戦に反対してもらえれば、治…太宰王子でも強行突破はできなくなると思います。』
「そうか、却下だ。」
『なんで!?』
え、早くないですか…?
だって、治は海の制御が効かなくなる前に国民を隣国へ移したいはず。国民の安全を確保できてない状態で、下手に海の秩序を壊すことはできない。
…ってことは!国民がここに留まり続ける限り、中也から完全に海を守る力を奪えないはずでしょ?
「…貴様、自分が王家の人間だという自覚が足りていないようだな。昨日の夜から、王女が城から消えたと国中が大騒ぎ。話が歪曲され、人魚に攫われたのではと唱える者も出てきている。」
『え、もうそんな事態に…?』
「王女失踪が人魚の仕業と考える輩がいる中、味方をする人間がいると思うか?もし王家がその話を正式に認めたら終わりだぞ。ますます、人魚を殺しやすくなる。
…貴様は自分の行動一つ一つが、大きな影響力を持つということを理解するべきだ」
真っ黒で鋭い目が私を突刺すように見つめる。
…芥川さんの言うとおりだ。助けるために行動したはずが、逆に窮地に追い詰めることになってしまった。あのまま城で残って、治を説得し続けるほうがまだ可能性があったのかもしれない。
芥川さんも、私のせいで仲間が追いやられていることに腹を立てているに違いない。私のような人と、これから行動しなくてはならないのだ。
自分の行動を思い出して自責の念に狩られ、また涙が溢れそうになった。
「めそめそ泣くな、顔を上げろ。」
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
89人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時