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孤独の中で 中也side ページ43

『中也!』



折檻され時間が経った頃、彼女が駆け込んできた。鉄格子を挟み俺の姿を捉えると、しゃがんで泣き始めてしまった。

…最近、暗い顔しか見てねェな。原因は俺なんだが。


怖がられないか不安だったが、心配の方が勝って手を伸ばした。



「…すまなねぇ、全部俺のせいだ。俺が陸に来なければ良かったんだ。」



俺がAを追いかけてここまで来なければ、契約は途絶え、太宰と結婚して幸せになれたんだろう。俺がことをこじらせたばっかりに、Aは今重荷を背負っている…


「お前が苦しんでるのに、何もしてやれない。」


さっき王様から聞いた話だと、太宰は何年も前から国ごと移住する計画を立てていたらしい。人魚が海を治めなくても、民が生きていけるように。

俺は最初から、太宰に負けていたんだ。



「お前を脅したこともずっと後悔してた。ずっと俺に怯えてただろ?怖かったよな、すまねぇ、本当に…っ」


自白剤がまだ効いているのか、俺の気持ちは素直に言葉に出た。

Aは本当に怖かったよな…いきなり出会った男の人魚に、海に引きずり込まれそうになってたんだからよ。


「手前の親父は、俺をここから出さないつもりらしい。でも、もういいんだ…罰を受けるのは当然だ。Aと一緒に過ごせただけで、幸せだった。」

『…中也、何言ってるの?』

「もう俺のことは忘れてくれ…太宰の国に移るんだろ、手前が幸せになってくれれば、俺はなんの未練もなくこの世を去れる。」


…未練なんて無くなる訳ねェんだが。


「……俺が死んで、契約を切る代わりに仲間を見逃してもらうことにしたんだ」


本当は、もう数日でAを連れて行くつもりだった。だが、力の持続が難しくなってきた矢先にこれだ。おまけに、海水で力を持続し続けていたこともバレてしまった。

でも、これで良かったんだ…きっと。

だから、せめて、手前は幸せに…


『中也…絶対中也を死なせたりしない。必ず助けるから』


は?



『私がなんとかするから、絶対諦めないで!』

「は、いや…手前一人で何が…」

『見くびらないで、私だってやる時はやるの!』


自分を鼓舞するように彼女は叫ぶ。


『中也は、わ、私を貰ってくれるんでしょ!?私を置いて勝手に死んじゃ駄目!』



強く言い放つ彼女。

俺の中で、生きる希望が息を吹き返した。

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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時

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