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どうして ページ37

あの後、部屋に戻り鍵をかけた。暗い部屋で、ドレスが月明かりに照らされる。


『……………どうしよう…っ…』


そう呟くのは何回目なのか。
中也のプロポーズを受けてしまった、治を裏切ってしまった…そればかり考えていた。

もう舞踏会は終わる。会場に戻る気になれなかった私は、そのままベッドに座り込む。


果たして、人魚が人間に恋愛感情を抱くことがあるのか、と疑問に思っていた。…だけど、中也は私のことを本気で愛していたらしい。一人の男性として。

それに、王女として他国の王子と結婚しなければという意識がずっと働いていた。だって、私はそう教育されてきたから。


契約なんて、見たことも聞いたことも無かった。なぜ、知らされなかったのだろう……。



『お父様に、なんて言えば…』



お許し下さい、人魚のもとへ嫁ぎます?

他国の王子とはできません…?

国のため、海を守りたいです?



きっと近いうちに舞踏会が終わったら、お父様に聞かれる。誰を婿に選ぶのか、と。



コンコンッーーー



『っ……は、はい』

「A大丈夫かい?太宰だよ。君が部屋に戻っていくのを見たって人がいたんだ」

『……治…』



ずっと待たせていてごめんなさい。でも、今顔を見るなんてこと、できそうになかった。

あぁ、さっき思いを伝えたばかりなのに…っ



『急に体調が悪くなって…ごめんなさい、お父様にも伝えておいてくれる…?』

「本当に大丈夫かい?まさか、さっきも無理してたの?」

『本当に大丈夫…!ごめん、今日はもう寝るね』

「…分かった。おやすみ、ゆっくり休むんだよ」



ドア越しに足音が遠ざかっていくのが聞こえる。私は反対に、ベランダへと出た。平穏な海が静かに波の音を立たせている。

これを中也は、操ることができるの…?

遠くに見える町並みが、津波に巻き込まれるなんて、考えただけで青ざめてしまう…



『中也、やっぱりちゃんと話し合いたいよ…』



力なく呟いた言葉は、誰にも届かない。

私はいつ海に連れて行かれるのか、家族の元を離れるのか、どんな世界が待っているのか…不安が渦巻く。



“試しにあっちでもやってやろうか?”


中也が街へ手を向けた時の、あの恐怖が忘れられない。



『あれは、本当に中也だったのかな…』



久しぶりに、涙が零れ落ちた。

偽り→←こんなはずじゃ 中也side


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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時

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