契約 中也side ページ25
そうだ。
俺は、ーーー人魚の王家の血筋を引いている。
代々、この国の王家から人間を貰ってきたのは事実。
でも、Aに近づいたのは、そんな目的じゃない。
俺は、Aと仲良くなりたくて、もっと傍にいたくて、知りたくて…大好きになっちまったから。愛した女だから。
俺達人魚は、この国の海を何代にも渡って守っている。
ただし、“条件付き”で。
太古、この国の王である人間が、人魚と契約を交わした。
《人魚の王が代替わりする度、王家の人間を差し出す》
簡単に言えば、生贄だ。この約束が守られることで、ここの海は人魚が守ってきた。
そして、約十数年前、俺は新たな王として海の守護に当たることになった。が、いつまで経っても俺の元へ生贄が差し出されることは無かった。
あと1年経っても生贄が差し出されなければ、契約は無効になり、海は本来の荒々しい姿に戻る。
「(まぁ、人間なんてそんなもンだろ。守護の役目も、俺の代で終わりだな)」
そんな時だ、Aに会ったのは。
あいつに惹かれた俺は、本来の役目を放棄して、陸に上がった。あいつと一緒にいられるなら、人魚に戻る気も無かった。
俺にとって海を守ることより、そっちの方がずっと魅力的だからな。
ーーーだから、Aが王家だと知った時、とてつもない衝撃が走った。
「(きっと、俺が貰うはずの、王家の女だ。)」
齢16に達している。
契約違反にならない年頃まで成長している。
なぜ今まで、Aを差し出さなかったのか。
まぁ、どちらにしろ、俺とAは出会う運命だったんだ。最高じゃねェか。
…だが、生贄だからと言って俺のもとへ無理矢理来てほしくない。Aが本当に俺のことを好きになった上で、俺の元へ来てほしい。あいつ自らが望むまで。
だから、“契約”のことは言わない。
Aに愛されるまで、言ってやらねェんだ。それまで、誰にもとられないようにしねェとな。
……太宰の野郎にはバレちまったが、俺が脅しをかけたことで、きっとAには言わないだろう。
俺は、実際に海を操ることができる。まぁ、長く海から離れていると、少しずつ魔力は弱くなっていくが…。
国が津波に飲み込まれたら、Aは悲しむに決まってる。太宰も流石に口外しはしないはずだ。
あぁ、A…
太宰なんかに渡さねェからな…?
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時