転生後の弟が推しだったから愛でたらヤンデレ化した【糸師兄弟】

05-全ては君の為 ページ9

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冴ちゃんがスペインに行って早四年。私は十七歳、凛ちゃんは十五歳になった。

そして、今日は凛ちゃんのチームが日本一…即ち優勝を果たした為、家族で祝う事になった。家族って言っても、父さんと母さんは用事でいないし、冴ちゃんは帰って来ていないから不在だけど。




「凛ちゃんおめでと！姉ちゃん、姉として誇らしいよ！」

「ありがとう！これで兄ちゃんも、帰って来た時に喜んでくれるよね」




その言葉を聞いて、私は思わず動きを止めてしまう。

そうだ、私は知っているのだ。この後彼らに起こる悲劇、ナイトスノウの事を。




「姉ちゃん？どうかした？」




はっきり言って、二人を救う事はあまりしたくない。きっと、冴ちゃんは凛ちゃんの事を思って突き放したんだ。凛ちゃんのエゴを成長させる為に。そのきっかけを断つという事は、原作を大きく変えてしまう事になる。それは避けたい。
だから、ごめんね凛ちゃん。




「…そうだね。きっと冴ちゃんもびっくりするよ！」




こんな最低な姉ちゃんの事なんて嫌っても良いよ。その代わり、しっかり乗り越えてね。私はファンとしても姉としても、君の事を応援するから。


笑顔で「兄ちゃん帰って来るのいつだっけ？」と楽しそうに話す凛ちゃんに、罪悪感を抱きながら食器の準備をした。




＊
＊
＊




「ねぇ凛ちゃん」

「……」

「私『今日くらいは凛ちゃんの好きな食べ物で良いよ』って言ったけどさ、









夕食が鮭茶漬けはちょっと淋しくない！？」




私の言葉が聞こえないとでも言うように、目線を逸らす凛ちゃん。
え、かわいい。…いやかわいいけど！これ絶対お腹空くやつ！！冴ちゃんがいたら「ぬりぃな」って言われちゃうよ！あれ？この口癖って未来の凛ちゃんだっけ？




「夜中に空腹で目覚めちゃうよ…」

「ごめん姉ちゃん。でも久しぶりに食べたくて…」

「許す！！！」




凛ちゃんのかわいさに耐えきれずに秒で許し、夕食は鮭茶漬けを延々と食べる羽目になった。

チョロいって？そんなの今に始まった事じゃないでしょ。

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