転生後の弟が推しだったから愛でたらヤンデレ化した【糸師兄弟】

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「あの、大丈夫でしたか…？」




潔の口から吐かれた白い息が風に流れていく。


原作より一年程前のはずだから、彼はまだ高校一年生。
それなのに、何だこのビジュの良さは！！

思えば、冴ちゃんと凛ちゃん以外の原作キャラと絡むのは潔が初めてだ。会いに行って不審がられるの最悪だから、U20戦で「糸師冴と凛の姉です」とクールぶって話しかけようと密かに思っていた。




「大丈夫だよ。巻き込んでごめんね」

「いえ。かなり困ってそうだったので」




頬をかきながら眉を八の字に下げる潔。何それ好き。


澄まし顔で潔に返答したが、私の脳内は変わらずお祭り状態だった。

それもそのはず。私的ブルロキャラで付き合うなら誰！？ランキング、堂々の第一位なんだから。
冴ちゃんも凛ちゃんも好きだけど、それは推し兼弟に対する愛であって付き合うとなったら別だ。ツンツンな彼らに、恋人として真っ直ぐ向き合える自信が私にはない。
その点、潔は試合中の口の悪さを除けば常識人だし、埋もれがちだけどイケメンだし、サッカー上手いし、ショタ激かわだし、ちゃんと男子高校生だし。彼女に絶対優しくするタイプだよ、彼は。




「いさ…えーっと、名前何て言うの？ここで会ったのも何かの縁だし教えて欲しいな」

「潔世一です」

「潔くんね。私は糸師A、高二だよ」




私の言葉に「高校二年生…先輩ですね」と微笑む潔。
さっきまでほぼ無表情だったのに笑ってくれた！？緊張とか警戒とかしなくなったって事だよね！？いやさすがにかわい過ぎる！！

割と真面目に結婚したい。
さっき名前言いかけちゃった事深堀してこないの神？こういう指摘されたら黒歴史になりそうな事をスルーしてくれる人って、個人的にめっちゃ好感持てる。好き。元からだけど。




「潔くんは、この辺の子じゃないよね？学校の用事で来たの？」

「はい。部活の練習試合で来ています」




練習試合か。平日なのにわざわざ大変だろうな。頑張ってるの愛おしくて泣きそう。
例えると…そうだな、冴ちゃんがスペインに行くって言った時と同じ感じ。




「何やってるの？」

「サッカーです。子供の頃からずっと好きで」




次元という壁を超えた今、私は時間が許す限り彼と話す事ができる。それがこんなに嬉しいとは。控えめに言って吐きそう。もちろん良い意味で。




「またどこかで会えると良いですね」




そのまま振り返る事なく去って行く潔。
私の鼓動が、少しだけ高鳴った。

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